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Vol.100Case

「確かな力をつけるグローバル教育の充実」を柱として、学校改革を推進

岡山中学校・高等学校 様

岡山中学校・高等学校 様

岡山中学は1982年、岡山高校は1985年に開校。校訓「天分発揮」、教育目標「人に優しく・己に厳しく・勉強はたゆみなく」のもと、中高一貫校として6年間の教育活動を通し、生徒一人ひとりの潜在的な力を引き出すことを目指す。「東大・国立医学部コース」「難関大コース」の2コース制で、例年、多数の国公立大合格者を輩出している。「教育寮みしま」があり、県外からも多くの生徒が集まる。

基本情報
私立、共学、普通科
規模
1学年約150名
主な進路
国公立大は、北海道大、筑波大、東京大、東京工業大、名古屋大、京都大、岡山大、広島大、徳島大、香川大、九州大などに43名が合格。私立大は、慶應義塾大、早稲田大、同志社大、立命館大、大阪医科大、関西学院大、川崎医科大などにのべ166名が合格(2015年度入試)

取り組みのポイント

  • 教育活動の質を高めるだけでなく、在校生や保護者と教育活動のねらいを共有することで、学校への信頼感と満足度を高める。
  • 日本語・英語による発信力を高め、グローバル教育の充実にむけた大規模な学校改革に着手する。
  • 英語授業改革に加え、ベルリッツプログラムやSkypeを活用したマンツーマンレッスンを導入し、グローバル教育の充実、英語運用力の向上に力を入れる。

取り組みの背景

 同校は2014年度に就任した鷹家秀史校長のリーダーシップのもと、大規模な学校改革に取り組んでいる。
 就任当時、少子化などの影響で、2000年代には右肩上がりだった志願者数が頭打ちになり、教育活動にも前例踏襲主義による弊害が見られるようになっていた。こうした状況を克服するために行われた学校改革についての議論で、同校が大切にしたのは、「在校生とその保護者に満足してもらえる学校づくり」だ。このことを校内では「内部広報の充実」と呼び、日常の教育活動を充実させて在校生の満足度を高めることで、学校の活性化を狙うことになった。
 また、教育活動の充実を図る上で、高大連携の動きも見据え、2020年に高校3年生になる、2015年度中学1年生を中心に手だてを講ずるべきだという判断がなされた。
 教育活動を充実させる上で特に力を入れているのは、グローバル教育だ。同校のグローバル教育には以前から定評があったが、原点に立ち戻って教育内容の見直しを図っている。鷹家校長は、「失敗を恐れずにチャレンジできる生徒を育てる。そのためには、まず学校や教師の側が臆病にならずに変革に取り組む必要があります。そこで、従来の教育活動の枠組みを根本から見つめ直し、思い切った改革を進めていこうと考えたのです」と語る。

取り組みの詳細

ベルリッツとの提携で英語の授業の抜本的改革を目指す

 グローバル教育の充実に向けて、「グローバル化や多様化が進む社会で活躍できる力を育てるために、学校はどう変わるべきか」という議論が校内で繰り返し行われた。「学校には、子どもたちに力をつける責任があります。大学進学実績などの『量』で捉えられる側面だけでなく、今後は結果の『質』もますます問われる時代となります。本校のグローバル教育では、大学受験をクリアするのはもちろん、世界レベルのステージに立てる生徒の育成を目指しています」(鷹家校長)。
 同校では、英会話の授業のほか、英語スピーチコンテストや生徒有志による英字新聞作りなど、多様なグローバル教育に力を入れてきた。ところが、英語運用力の育成に関しては、必ずしも十分な成果が出ていないことを課題と感じていた。例えば、同校では高校1年生全員がイギリスのイートン・カレッジのハウス(寮)で生活する修学旅行が伝統となっている。イートン・カレッジの教師や卒業生との交流を通し、グローバルな視野や異文化理解につなげる上で、一定の成果をあげてきた。一方で、修学旅行の中で十分にコミュニケーションを取れない生徒の姿も散見されていた。「ある程度は話せるはずなのですが、経験不足のため話せない生徒がいました。また、一度の失敗で自信を失う姿も見られました」(鷹家校長)。
 生徒の大きな成長の機会となる海外修学旅行をより意義のあるものにするためにも、授業を中心とした英語教育を改革する必要性を感じたという。教務部長の佐藤素江先生は、「近年、タブレットやClassi(クラウドを用いた学校向け教育サービス)を活用したアクティブ・ラーニングを導入するなど、本校の英語教育は変化しつつあります。先生方の努力で、確実に生徒の英語力は高まっていると感じています。しかし、海外修学旅行の様子を見ると、本校の授業によって話せる素地はあるにも関わらず、声を出せていない現状に克服すべき課題があると感じています。中学1年生の早期から、アウトプットすることに抵抗感をなくすための指導が必要だと感じています」と話す。
 きっかけは他にもある。同校では、以前から地域交流を目的として、年1回、地域の小学生を無料で招待して英会話を楽しむ「キッズ・イングリッシュ」というイベントを実施してきた。このイベントは中学3年生と高校1年生が参加して、小学生に英語を教える内容になっている。参加した先生方は、生徒がつたない英語でも一生懸命小学生に伝えようとする様子を見て、話すことへの抵抗感を取り除けば生徒の英語力はもっと向上するのではと感じたという。
 この課題を解決するための取り組みとして、2015年9月より中学1年生にベルリッツプログラムを導入することにした。ベルリッツとの提携を決めたのは、「キッズ・イングリッシュ」に招いたベルリッツ講師の、英語運用力向上や異文化理解に関する専門知識の豊富さ、指導技術の高さに感心したからだ。「(講師は)生徒のレベルに徹底して合わせ、日常会話を話せるようになりたいという生徒の気持ちを喚起するように指導をしていました。この様子を見て、確固たる指導法があると感じました。また、そのメソッドを効果的に生かすために少人数指導にこだわっている点にも納得できました」(佐藤先生)。
 佐藤先生はこのイベントを機に、ベルリッツとの提携を校内に提案した。佐藤先生が国語科担当だったこともあり、英語科以外の教師を加えた議論を経て、中学1年生の英会話の授業での導入に至った。入学して間もない中学1年生を対象としたのには、できるだけ早期にアウトプットする習慣を身につけさせたいというねらいがある。今後、生徒の反応を見ながら、他学年に広げることも検討している。「他教科の教師が議論に参加したことで、英語のことは英語の教科担当、国語のことは国語の教科担当というように、教育活動を教科の枠組みで考える旧弊が打破できたことも、学校改革の推進力となっていると考えています」(鷹家校長)。

Skypeを活用し、教科書の内容に即したマンツーマンの英会話レッスンを導入

 ベルリッツの導入と同時に、中学3年生と高校1年生の希望者を対象として、Skypeを利用した海外の講師とのマンツーマンレッスンを導入した(資料1)。この学年に設定したのは、イートン修学旅行の前後に英会話の実践の機会を充実させるためだ。2015年度は、1回25分間のレッスンを10月から2月まで全20回行う。講師は事前研修を受けており、生徒の習熟度に即したレベル別教材をもとに指導する。
 10月2日に実施した中学3年生の第1回レッスンには、22人が参加した。トピックは「友達との噂話」。初回とあって最初はぎこちない受け答えが目立ったが、後半にはどの生徒も講師に促されて積極的に会話し、教室内に笑い声も響いていた。「25分間は長いかもしれないと心配しましたが、杞憂でした。何より生徒が楽しんでいたことが今後の学習につながると感じました」(佐藤先生)。
 実際に受講した生徒からは、「外国人の先生とコミュニケーションすることで、授業で習ったことを使って会話ができるようになってきました。将来は英語を使って国際的に活躍するのが目標です。その目標を実現するための力がつくのを実感できるので、毎週の講座がとても楽しみ」といった声が聞かれた。

【資料1】英会話レッスン授業風景

在校生や保護者など「学校内部」に向けた広報活動に注力

 教育活動の充実を図ることと並行し、それを効果的に生徒募集につなげるための広報活動にも力を入れている。
 従来、同校の広報活動は、小学生の保護者などを中心とした外部への広報活動が多かった。しかし、在校生へのアンケートを見ると、同校を知ったきっかけとして、インターネットに加え、「在校生の保護者からの情報」「塾のすすめ」など関係者からの推薦を挙げる声が多数を占めた。そこで外部への広報だけではなく、在校生やその保護者への広報活動(内部広報)にも力点を置く方針を採用した。広報部長の三宅克彦先生は、「『生徒が行きたい学校、保護者が行かせたい学校、塾が薦めたい学校』をスローガンとしました。最優先すべきは、在校生への教育活動の質を高め、生徒の満足度を高めることにあります。教育活動の充実化はもちろん、教育内容のねらいをわかりやすく伝えること、また学校行事や生徒指導などの見直しを進めました」と説明する。
 特に、中学校の指導を充実させることから議論を始めたのには、次のようなねらいがある。「小学生の保護者は、6年後のわが子の姿まで具体的にイメージしづらいでしょう。それよりも、充実した中学校生活が送れることを伝えたほうが学校をよりイメージしてもらえると考えました」(三宅先生)。
 同校の生徒は広域から集まることもあり、これまで地域社会との関係は密とはいえなかった。そこで信頼関係構築の第一歩として、前述した「キッズ・イングリッシュ」をはじめとする地域との交流活動を増やし、地域の方に同校について知ってもらおうと努めている。

取り組みの成果と今後に向けて

 改革の機運は、教師だけではなく、生徒の間にも広がっている。「鷹家校長がたびたび発する『壁を乗り越えろ』という言葉は、生徒の間でも合言葉になっています。新たな試みを積極的に取り入れる雰囲気が、教師や生徒の間に浸透していると感じています」(佐藤先生)。
 最近2年間で、同校への志願者数は大幅に回復し上昇に転じている。これは学校改革や内部広報活動の成果と捉えられている。生徒や保護者の間に学校への信頼感を示す姿が見られるようになったことも成果の一つだ。「卒業生の保護者が文化祭や体育大会に来校し、在校生やその保護者などに対して『本当にいい学校だ』と話してくださっていたことに感動しました。教育活動に対して、また生徒に対しての我々の思いは確かに伝わりつつあると感じています」(三宅先生)。
 今後は、地元はもとより、日本全国、さらには海外の日本人学校なども視野に入れた広報活動に力を入れ、多様な生徒が切磋琢磨する学校づくりを目指す。既に近年、県外からの転入学者は増えはじめている。「教室や寮の中で各地の方言が飛び交い、多様な価値観がぶつかり合う学びの環境こそがグローバル社会そのものと言えます。学校改革と広報活動を両輪として、さらなる進化を目指したいと考えています」(三宅先生)。

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