継続的に英語力の伸びを測定できる
スコア型英語4技能検定

school

Vol.101Case

コミュニカティブな活動を軸にした指導で
これからの大学入試に求められる英語力を育成

佐賀県立佐賀西高校 様

佐賀県立佐賀西高校 様

1876年(明治9)年、佐賀変則中学校(旧制)として開校。佐賀県立佐賀中学校(旧制)、同県立佐賀高校などを経て、1963(昭和38)年に現校名に改称。開校以来、「質実剛健・鍛身養志」を建学の精神とする。国公立大への合格者を毎年のように150人以上送り出す県内屈指の進学校である一方、部活動も盛んで、男子バスケットボール部、将棋部などが県内外の大会で活躍している。

基本情報
公立、共学、普通科
規模
1学年約280名
主な進路
国公立大は東京大1名、名古屋大1名、京都大2名、大阪大4名、九州大49名、佐賀大56名をはじめ228名(2016年度入試/既卒生含む)

取り組みのポイント

  • 英文の読解とコミュニカティブな活動とが有機的につながるように、教材を工夫。
  • 英語によるコミュニケーション能力を総合的に高められるように、日本人教師とALTとの連携を推進。
  • 目の前の学習と大学入試とがいかに関連するかをこまめに伝えるとともに、GTECで4技能の定着度合いを測定することで、生徒の学習意欲を向上させる。

取り組みの背景

 同校は、聞く・読む・話す・書くの英語4技能を総合的に高める取り組みに以前から力を入れている。2013年度に新課程が導入されてからは、生徒の英語活動を中心にした授業をさらに重視するようになった。
 2014年度入学生(現3年生)では、どの単元でも「What do you think?」と生徒に問い掛け、教科書の文章のテーマに関する生徒同士の意見交換やディベート、プレゼンテーションなどを1年生から積極的に行っている。このねらいについて、この学年の英語を1年生から持ち上がりで担当している江口智紀先生は、「単語や文法事項をただ覚えるだけでなく、英語というコミュニケーションツールを使いこなすことに直結する練習を、1年生のうちから段階的に積ませたいと考えました。他者の主張を批判的に捉えて自分の意見を持ち、それを分かりやすく伝える力を身につければ、高度な思考力や判断力、表現力などが必要とされるようになっている大学入試にも、しっかり対応できるようになるはずです。大学入学後、世界中の人たちと交流し、自分の世界を広げることにも役立つでしょう」と語る。
 この学年では、2年生になると、生徒が教科書の文章を多角的に読み取り、意見交換などをより効果的に行えるように、1つの単元にワークシートを教科団で何枚も作成・配布し、生徒に取り組ませるようになった。これにより、生き生きと自分の考えを述べる生徒が増えた半面、授業の進度が例年に比べて遅れが出始め、リーディングに充てる時間も少なくせざるを得なくなった。そのためか、進研模試の成績も例年に比べて下がる傾向が見られた。また、教師がワークシートを準備するのに膨大な時間がかかることも課題だった。そこで、コミュニカティブな活動の充実度と効率化とを両立させられるように、2年生の2学期から指導を改めた。

取り組みの詳細

コミュニカティブな活動とリーディングとの有機的な関連を強化

 2年生の2学期以降は、OXFORD University Pressから出版されている「Q:Skills for Success」を授業で中心的に用いるようになった。従来の教科書は、週末課題の英文和訳や日本語による説明問題の教材として主に用い、文章のテーマによっては授業でも使用することにした。江口先生とともに2014年度入学生の英語を1年生から受け持つ内田恵美先生は、教材を変更した理由を次のように説明する。「同テキストには、『第一印象をよくするためには何をすべきか』『人はなぜお互いを助けようとするのか』といった、読解する観点が無数に成り立つテーマを扱った文章が多く載っています。そのため、1学期ほどワークシートを作成しなくても、授業で読む英文とコミュニカティブな活動とが有機的につながりやすくなるはずです。英語で考え伝える力を育むという目的に沿って、さまざまな活動を無理なく行うことにもつながると期待しました」。
 授業の内容を見てみよう。どの単元でも、冒頭で同テキストの文章を生徒全員が一斉に速読し、おおまかな文意をつかんでから、文章のテーマや筆者の主張などについて生徒同士で検討していく。例えば、生徒が4〜5人のグループに分かれてディスカッションを行い、話し合った内容を各グループの代表者がクラス全体に発表するといった具合だ。単元の最後にはワークシート(資料1)を配布し、生徒はここに、文章のテーマに対する自分の見解や筆者の主張への賛否についてまとめ、その内容をプレゼンテーションする。「生徒は一連の活動に取り組む過程で、繰り返しテキストの文章を読むことになります。グループディスカッションの内容などを聞いていると、読んだ英文を“材料”にして自らの主張を展開していると感じることが、回を重ねるごとに多くなっていきました」(江口先生)。

【資料1】授業で用いるワークシート

ALTとの効果的な連携で生徒の表現力を高める

 ALTに加わってもらい、日本人教師とTTで指導する機会が増えたことも、2年生の2学期以降の特徴だ。1学期まではディベートを行う週1コマのみだったが、2学期からは可能な限り多くの授業にALTを迎えるようになった。この変化について、2014年度入学生の英語をやはり3年間持ち上がりで担当する大岩裕子先生は、「毎回の授業でコミュニカティブな活動にしっかり取り組めるようになったことで、ALTの力をどこで借りるべきかが見えやすくなりました。英語母語話者ならではの指導を効果的な場面でお願いできるようになったと思います」と語る。
 例えば、同校のクラスは習熟度別に編成されているが、グループディスカッションはどのクラスもALTを交えて行う。ALTは、各グループを回って話し合いの内容に対して助言するほか、グループの代表者によるプレゼンテーションに対して、良かった点や課題などを講評。さらに、プレゼンテーションに含まれていたいくつかの表現を具体的に挙げ、文法の誤りを正したり、ニュアンスの差を解説したりする。その際、日本人教師はALTの解説を踏まえ、生徒の表現をより整った英文に変えて板書する。
 成績が中位・上位のクラスでは、折に触れて取り組む和文英訳にも、ALTに加わってもらう。ALTが英文としての正確性、日本人教師が日本語と英語との整合性をチェックすることで、生徒のライティング力を高めようというねらいだ。

目の前の学習と進路との関連を伝え生徒の学習意欲を向上させる

 学習に対する生徒の意識づけの仕方にも、さまざまな工夫が見られる。その1つが、1年生から月1回配布している英語科通信(資料2)だ。現在授業で取り組んでいる活動にどのような意義があるのかを伝え、生徒の英語学習のモチベーションが上がるよう仕掛けている。また、2年生の後半からは、授業などで東京大や京都大、九州大といった難関大で近年出題された入試問題を例に、目の前の学習と大学入試との関連性を示すことも多くなった。「英文を批判的に読解できてはじめて解答できる問題や、自分の考えを論理的に述べる必要がある問題が、実際に入試で出題されていることを知れば、生徒は自ら学びに向かうようになると考えています」(江口先生)。
 また、授業の難度でも生徒を刺激する。単元の冒頭で行うテキストの速読の制限時間を、簡単に読める生徒がいない程度に短くしたり、グループディスカッションやプレゼンテーションの解説などで、多くの生徒の知らないと考えられる重要な表現をさりげなく示したりするといった具合だ。「授業を通して『自分にはまだ足りない部分がある』と感じれば、生徒は課題を自覚し、それを解決するために机に向かうようになるでしょう。授業での学習内容が大学入試に結びつくことが分かっていれば、なおさらです。課題を自覚し、それを解決するために机に向かうようになれば、学びは何倍も豊かになります」(大岩先生)。

【資料2】英語科通信

指導内容をさらに充実させるために4技能の定着度合いをこまめに測定

 生徒の英語力を複数の視点から定期的に見取っていることにも、注目したい。進研模試は読解の精度、GTEC for STUDENTS(以下、GTEC)は4技能のスキル・定着度合いを客観的に測るツールと位置づけ、3年間を通して実施している。
 ライティングなどの分量が多いGTECは、英語による情報処理能力がどの程度速く、かつ正確になっているかをこまめに判断できるように、1・2年生で2回ずつ(7月・12月)、3年生で1回(7月)と、約半年に1回のペースで課し、コミュニカティブな指導の成果検証として活用している。「スコアが伸び悩む生徒が多いスキルがあれば、そのスキルについての指導を見直すなど、GTECの結果を受けて指導内容を調整することもあります」(内田先生)。
 また、GTECはスキルの運用力が全国レベルで判定されるため、特に成績上位層の生徒が学習意欲を高める機会にもなるという。「上位層の生徒ほど、自分のスキルがどれくらい通用するのかを試してみたいという気持ちが強いと感じます」(江口先生)。

左から内田先生、江口先生、大岩先生

取り組みの成果と今後に向けて

 2014年度入学生(現3年生)は、コミュニカティブな活動を軸にした授業によって、思考力や判断力、表現力をしっかり定着させている。GTECでは、2年生12月のスコアが、過年度の3年生7月のスコアを上回っているほどだ(資料3)。進研模試の成績も伸びており、英語によるコミュニケーション能力が総合的に高まっていることがうかがえる。
 さらに、生徒の意識も変わった。「英語をただ教科としてだけではなく、自分にとって必要なツールとして捉えられるようになっていると感じます。私が『勉強の調子はどう?』と尋ねたところ、『スピーキングに課題があります』と答える生徒が出てきました」(江口先生)。
 3年生の2学期からは大学入試の過去問題演習などが本格化するが、コミュニカティブな活動にも時間の許す限り取り組んでいく。「英語で考える力、英語を用いて伝える力は、大学入試にはもちろん、大学合格後にも生きます。生徒には最後までしっかり身につけさせ、送り出したいと考えています」(内田先生)。

【資料3】GTEC成績推移

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