継続的に英語力の伸びを測定できる
スコア型英語4技能検定

school

Vol.104Case

中学1年生からの段階的な指導により
英語のアウトプット力を向上させる

湘南白百合学園中学校・高等学校 様

湘南白百合学園中学校・高等学校 様

1938(昭和13)年に乃木高等女学校(旧制)として開校。キリスト教(カトリック)の精神に基づいて女子教育を行う中高一貫校。設立母体はシャルトル聖パウロ修道女会で、函館や東京、盛岡など全国に7校の姉妹校がある。「他者のために喜んで尽くす人である『サーヴァント・リーダー』として活躍する女性を育てる」という教育目標のもとに、世界で活躍できる女性の育成に取り組んでいる。

基本情報
私立、女子校、普通科
規模
1学年約180名(中学校)、165名(高校)
主な進路
国公立大は、東北大1名、東京大1名、一橋大1名、東京工業大1名、東京芸術大2名など24名(2016年度入試/現役のみ)

取り組みのポイント

  • 初期指導で生徒に文章の型を定着させることを重視し、課題英作文に積極的に取り組ませる。
  • ネイティブの教師と力を合わせ、実践的なライティングスキルを修得させる。
  • 他教科と連携した取り組みなどを通して、英語の表現力を多角的に育成。

取り組みの背景

 同校では、世界で活動できる人材を育成することを目標に、英語教育に力を入れている。そこで、オールイングリッシュによるコミュニケーション活動にどの学年でも取り組むというように、英語4技能をバランスよく伸ばすことを重視し、GTEC for STUDENTS(以下、GTEC)を中学1年生から高校2年生まで全員に課すなど、英語の総合的なコミュニケーション能力がどの程度定着しているかを定期的に測っている。
 ただ、GTECにおけるライティングのスコアが伸び悩む学年が多かった。また、高校1年生と2年生が受験するGTEC Speaking Testでは、自分の考えを矛盾なく整理して伝えることが苦手な生徒が少なくないことも見えてきた。こうした課題について英語科の大西尚子先生は、「英語による表現活動につまずいているということですから、英語をアウトプットする練習を今まで以上にしっかりと、段階的に積ませたいと感じました」と話す。

取り組みの詳細

生徒に文章の型を定着させることを初期指導の柱と位置づける

 中学校段階では、英作文の指導に力を入れるようになった。1・2年生で重視するのが、起承転結などの文章の型をしっかり定着させることだ。「他者に分かりやすい文章を書くためには、型をまず覚える必要があります。6年間をかけて生徒のアウトプット力を伸ばしていく基礎を、初期指導で固めたいと考えました」(大西先生)。
 そこで、自分の意見を述べてからその理由を説明するなど、どのように書けばよいかを具体的に示しながら、多くの授業で課題英作文を課す。どの生徒も取り組みやすくなるように、テーマは「長期休暇中にしたいこと」といった生徒にとって身近なものにしている。「生徒には、自分の考えを英文で表す面白さに気づいてほしいと思っていますから、文法を正しく用いることよりも、分量をたくさん書くことを意識するように伝えています。そうすれば、文章の型も身につきやすくなるでしょう」(大西先生)。
 中学1年生からネイティブの教師による英会話の授業を行っているが、中学2年生になると課題英作文を課し、ネイティブの教師に添削してもらう。「生徒は英語母語者のチェックを繰り返し受けることで、自然な英文とはどういうものかが実感できるでしょう。表現力の向上につながると期待しました」(大西先生)。
 また、日本人教師も、ネイティブの教師がどのように添削しているかを見ることで、自分の指導を見直す参考になったという。「本校の日本人教師は、私を含め、文法事項やスペリングについ目がいってしまい、文章のチェックが甘くなる傾向がありました。その点、ネイティブの先生方は構成や論理の展開など、あくまでも文章を中心に添削してくれるので、文章の型を生徒にしっかり意識させる指導とはどのようなものか、私たちも気づかされました」(大西先生)。
 ネイティブの教師による添削指導は、中学3年生以降も続く。例えば、高校3年生のBクラス(習熟度別の中位クラス)では、ネイティブの教師が担当する「英語表現」の授業で週1回、大学入試問題から抜粋した英作文問題(資料1)に取り組み、文章構成などのアドバイスを受ける。

【資料1】高校3年生の英語表現のプリント

他教科との連携や課外活動などにより英語の表現力を多角的に育成

 中学3年生からは、英語を用いた多彩な表現活動に注力するようになる。例えば、中学3年生では、環境問題に関する、英語と理科の教科横断型学習を「総合的な学習の時間」に取り組む。学校の近くにある川の水質調査など、生徒がテーマを自由に決めて1学期から夏休みにかけて実験や観察を行い、その結果について、2学期のはじめに日本語でレポートを書く。これを、3学期が終わるまでに200~300語ほどの英文に要約する。「生徒は、日本語の内容をいかに縮約し、意味の通る英文にまとめるかを考えることになります。文章の型に沿って英文を書くという、1・2年生で身につけたスキルを応用する練習になると考えました」(大西先生)。
 高校段階では、英語の課外活動として、参加者を募ってディベートも行う。中学校段階で育成した文章での表現力を、スピーキングなどのスキルにも活用させようというわけだ。「ディベートでは、自分が論理的に主張するのはもちろん、相手の主張を批判的に分析し、疑問点や矛盾点を洗い出す必要もあります。これは、英語による思考力を伸ばすことに直結するはずです」(大西先生)。
 ディベート活動では、特別講師を招いてディベートのテーマについてレクチャーしてもらうこともある。経済問題がテーマであれば他国との折衝業務を担う銀行員、死刑制度がテーマであれば、その分野が専門の弁護士にお願いするといった具合だ。「生徒は、グローバルに活躍する特別講師の話を聴くことで、英語というコミュニケーションツールが国際社会でいかに役立つか、よく分かるでしょう。そうすれば、『自分ももっと英語が使いこなせるようになりたい』と感じ、学習意欲を高めることにもつながります」(大西先生)。

発信力醸成の集大成となる国内外での研修

 同校では、中学1年生から高校3年生を対象に、国内・海外での語学研修「タラント・リリアプログラム」を実施している。
 国内での研修としては、中学1年生の春休みに「校内英語キャンプ」、中学2・3年生の冬休みに「宿泊型英語キャンプ」、高校1〜3年生の夏休みに「英語コミュニケーション向上プログラム」を行う。海外での研修としては、中学1~3年生まで参加可能な韓国・済州島でのイングリッシュキャンプ、中学3年生・高校1年生に向けたオーストラリアでのホームステイ、高校1〜3年生を対象とするアメリカ・スミス女子大のプログラム受講がある。
 低学年向け研修の主な目的は、学んだ英語表現を用いて活動させ、発信力に対する自信をつけさせることだ。例えば、中学1年生が春休みに行う校内英語キャンプでは、生徒が英語劇を制作・発表する。「中学入学後1年間での学習が役に立っていることを実感する生徒が多いようです」(大西先生)。
 中学3年生以降は、海外での研修が多くなり、研修先の人々と交流する機会が増える。「現地でしっかり意思が疎通できた生徒はうれしいでしょうから、英語の学習にさらに前向きになります。自分の英語が通じなかったり、相手の英語がよく分からなかったりした生徒は、『次の機会には頑張ろう』と考えるでしょう。いずれにしても、コミュニケーションに対する意欲を伸ばせると考えています」(大西先生)。

取り組みの成果と今後に向けて

 上記の取り組みの成果は、さまざまなところに現れている。例えば、GTECのスコアアップだ。特に高校2年生では、ライティングのスコアが向上し、平均でグレード5(海外の高校の授業に参加できるレベル)となった。またディベート活動では、6年間で全国大会に2回進出している。
 さらに、生徒と保護者の間で海外留学に対する関心が高まっていることも、発信力に重点を置いたグローバル教育の成果といえるだろう。2016年に、校内で実施された留学説明会には、中学1年生から高校3年生まで、約50名が参加した。
 ただ、海外での学びを充実させるためには、母国でしっかり準備しておくことが欠かせない。世界を視野に入れて活動するグローバル人材の育成に向け、海外進学も視野に入れながら、同校では引き続き発信力を高める取り組みに力を入れていく考えだ。

PAGE TOP