継続的に英語力の伸びを測定できる
スコア型英語4技能検定

school

Vol.106Case

ライティングを軸にしたコミュニカティブな指導で
生徒の思考力、判断力、表現力を総合的に育成

富山県立富山南高等学校 様

富山県立富山南高等学校 様

1974(昭和49)年に開校。校訓として「自ら  学び 思い 律する」、教育目標として「志高く創造性豊かな実践力のある人間を育成する」を掲げる。英語教育や国際理解教育に力を入れており、1・2年生が英語劇やプレゼンテーションなどに取り組む1泊2日の「English Camp」や、1・2年生の希望者約20人がホームステイをしながらアメリカの高校と2週間交流する海外研修というように、多彩な活動を行っている。1995(平成7)年には国際コースを設置。1年生で募った希望者が、2年生以降に同コースに属する。

基本情報
公立、共学、普通科
規模
1学年約240名
主な進路
国公立大は新潟大14名、富山大45名、金沢大6名、横浜市立大3名、富山県立大5名、福井県立大3名、愛知県立大3名をはじめ107名(2016年度入試/既卒生含む)

取り組みのポイント

  • 3年間を通して英語の全科目で、アクティブラーニング型のライティング活動を展開。
  • 初期指導では英語によるコミュニケーションの楽しさを伝えることにも注力し、英語を使おうとする生徒の意欲を醸成。
  • GTEC for STUDENTSを通して、英語力の伸びを生徒に実感させるとともに、大学入試に向けて生徒の意識づけを図る。

取り組みの背景

 同校は、2003年から3年間、文部科学省の「スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール」(SELHi)の研究指定校となり、英語の指導改革に着手した。具体的には、教科書を中心とした一斉指導から、独自に作成したワークシートを教科書と併用し、アクティブラーニングを重視する指導に切り換えていった。そして、生徒が英語の4技能を用いながら思考したり表現したりする活動を、どの学年でも積極的に行うようになった。
 2016年度入試における同校の国公立大合格者数は107名と、過去最大規模となった。この要因の1つには、近年の指導を通して、生徒が英語による思考力や判断力、表現力をしっかり身につけていることがあると考えられる。同校の取り組みを見ていこう。

取り組みの詳細

英語のすべての科目でライティング活動に注力

 同校では、ライティングを軸にしたコミュニカティブな活動に力を入れている。「コミュニケーション英語」(1年生で週3コマ、2・3年生で週4コマ)、「英語表現」(1・2年生で週2コマ、3年生で文系が週3コマ、理系が週2コマ)、1年生の学校設定科目「国際コミュニケーション」(週1コマ)という英語のすべての科目で、生徒が毎回のように英作文に取り組み、自分の書いた英文を用いたペアワークなどを行っている。ライティングに用いたワークシートは教師が回収し、添削してから生徒に返却する。さらに、スピーチコンテストを催すなど、ライティングスキルをスピーキングスキルに応用する機会も3年間に適宜設けている。
 ライティングに重点を置く意図を、2016年度3年生を担当する英語科の五十嵐洋子先生は、「読んでいる文章中に論理の飛躍や矛盾、文法的な誤りなどがあれば、聴いている話の中にある時よりずっと目立つと思います。つまり文章では、思考や表現における力量が試されるわけです。そうであれば、文章を書く練習を積み重ねることで、思考力や表現力を総合的に伸ばせると考えました」と説明する。
 また、どの科目でも、教科書を読んで単語の意味を調べるといった予習を必須としている。このねらいを、五十嵐先生とともに2016年度3年生を担当する英語科の斉藤崇先生は、「予習によって教科書の内容をある程度頭に入れて授業に臨めるようになりますから、授業では教科書の内容への理解が進み、学んだ表現をアウトプットするコミュニカティブな活動にも取り組みやすくなると期待しました。予習が習慣化されれば、学習習慣も定着します」と語る。

ワークシートを活用したアウトプット活動

 「コミュニケーション英語」には、3年間共通の大きな2つの柱がある。1つは音読で、各レッスンで繰り返し行う。ネイティブの発音を意識できるように、教科書をCDの音声とともに黙読してから音読することもある。レッスンの前半では発音を確認すること、後半では文章内容の理解を深めることを目指す。
 もう1つの柱は、ワークシートによる活動だ。例えば、生徒同士のペアワークには、数語ずつ短く改行した教科書の英文を左側、その日本語訳を右側に載せたワークシート(資料1)を用いる。
 1人がワークシートを見ながら「私たちにはごくわずかな量の真水しかない」と日本語を声に出して読み、もう1人がこれに対応する英語を「We have a tiny amount of fresh water.」と、何も見ずに答える。2人とも日本語から英語を答えられるように、役割を変えて2回を1セットとして繰り返す。「英語を答える生徒にとってスピーキングの練習になるのはもちろん、日本語を読み上げる生徒も友だちの英語を聞きますから、リスニング、さらに和文英訳へのライティング、内容理解でリーディングの練習になると考えています」(五十嵐先生)。 教科書の内容に関するQ&A形式のワークシート(資料2)にも、並行して取り組む。このワークシートでは、リスニングによる正誤判定問題や英問英答の記述問題などの読解問題を前半、エッセーライティングやリテリングを後半に設けている。「教科書の内容を正確に理解した上で、その内容について自分がどう思うか、筆者の主張のポイントはどこかを考え、自分の言葉でアウトプットできるように、ワークシートを構成しています」(五十嵐先生)。
 リテリングには、まとめとして各授業の最後で取り組む。全員が書き終えた後、まずペアで発表し合い、次いで代表者2〜3人が全員の前で発表する。「生徒は友だちの発表を見ることで、『そんな言い方もできるのか!』という気づきが得られますから、表現をさらに豊かにしていくきっかけになるはずです」(斉藤先生)。

【資料1】】 日英対訳ワークシート

【資料2】Q&A形式のワークシート

初期指導での工夫により学びに向かう生徒を育成

 1年生では、英語を用いる楽しさを生徒に伝えることにも力を入れる。そこで設けているのが、学校設定科目「国際コミュニケーション」だ。これは、1クラス40人の生徒を20人ずつ2つのグループに分け、日本人の教科担当とALTの2人で指導する週1コマの科目で、テキストの英文を読んだ意見・考えを述べ合うなど、生徒同士、あるいは生徒と教師とのコミュニケーションに特化した活動に取り組む。「生徒は活動を通して、『相手の英語が分かる』『自分の英語が相手に伝わる』と身をもって感じるようです。これは、『もっと英語が上手になりたい』という気持ちに直結すると考えています」(斉藤先生)。
 活動に用いるワークシート(資料3)は事前に配布し、生徒にはワークシートを書いて授業を受けるように指導している。英文の内容を日本語で要約したり、英文の筆者の主張に対する自分の考えを英語で述べたりと、記述内容が多いにもかかわらず、びっしりと書く生徒が次第に増えてくる。「ワークシートにしっかり取り組むほど活動が充実することに、生徒が気づいていくからだと思います」(斉藤先生)。
 また、英語の各科目での活動にどのような意味があるかを説明することも、1年生で重視することの1つだ。例えば、「コミュニケーション英語」の取り組みとして先述した、日本語を聞いて英語を答えるペアワークでは、「英語が自然に頭に浮かぶようにするための練習だよ。スピーキングにはもちろん、ライティングにも役立つよ」と話す。「生徒は目的を示されることで、教師に言われたからという理由で取り組むより遥かに活動に前向きになれるでしょう。学習意欲の向上につながると考えています」(五十嵐先生)。
 初期指導におけるこうした取り組みは、自ら英語を使おうとする生徒の姿勢に実を結んでいる。「ライティングに積極的に取り組み、自分の考えを不足なく書ける生徒が、1年生のうちからどの科目でも目立つようになります」(五十嵐先生)。
 ただ、文章の構成や文法知識の定着などには課題があったため、近年は、定期考査や実力テストで課すエッセーライティングを「内容」「構成」「語彙・文法」の3観点から総合的に採点・添削するようになった(資料4)。「リテリングなど他のライティングにも、3観点を意識して取り組むように伝えています」(斉藤先生)。

【資料3】 「国際コミュニケーション」で用いるワークシート

【資料4】エッセーライティング

GTEC for STUDENTSを3年間実施し大学入試への意識づけを徹底

 生徒の英語力を客観的に測るツールとして用いているのが、GTEC for STUDENTS(以下、GTEC)だ。1・2年生は12月、3年生は7月と、各学年で年1回実施している。「GTECでは、センター試験と同じ制限時間でリスニングが課されますし、近年、個別学力試験に課す国公立大が増えている自由英作文が出題されます。さらに、リーディングの問題も大学入試にしっかり対応していると感じます。定期的に行うことによって、生徒の課題に応じた対策が立てやすくなるほか、大学受験に対する生徒の意識づけにもなると考え、1年生から導入しました」(五十嵐先生)。
 GTECには、学年ごとに固有の役割も担わせる。
 1年生での役割の1つは、生徒がライティング活動の成果を実感することだ。「入学以来、エッセーライティングなど、語数の多い英作文には全科目で注力しているため、どの生徒もGTECの問題に取り組みやすいはずです。自分の学習の仕方に自信が持てるようになるほか、学びにさらに意欲的にもなれると思います」(斉藤先生)。
 1年生でのもう1つの役割は、リーディングとリスニングの力不足への自覚を促すことだ。「本校の場合、GTECを受ける頃は、授業ではまだ速読を意識していませんし、聞く英語も5〜6分間のものがほとんどです。そのため、生徒にとってGTECのリーディング問題やリスニング問題はかなり大変でしょう。敢えて挑戦することで、今の自分に何が足りないかを痛感してほしいと考えています」(五十嵐先生)。
 事後指導としては、速読にも長時間のリスニングにもこれから徐々に取り組んでいくことを伝える。「生徒は、ライティング力がついていることが分かっていますから、『リーディングやリスニングにも頑張って取り組もう』という前向きな気持ちにつながると考えています」(五十嵐先生)。
 そこで2年生のGTECにおいては、特にリーディングとリスニングのスコアへの注意を喚起することが役割となる。モチベーションを高くして受験できるように、事前指導では過年度の2年生のスコアを参考として示しながら、生徒に目標スコアを立てさせる。
 3年生のGTECには、生徒が3年間での英語力の伸びを感じる機会として、また、大学入試への意識づけの機会としての役割を与える。「1年生の時に苦戦した記憶は残っているはずですから、リーディング問題やリスニング問題に太刀打ちできるようになっていれば、生徒は自分の成長が身をもって感じられるでしょう。3年生の7月の時点で『やればできる』という思いを新たにすることにより、志望の実現に向けたラストスパートにもつながると期待しています」(五十嵐先生)。
 また、生徒の努力を褒めるために、GTECの成績上位者は1年生のうちから学年集会で表彰している。

取り組みの成果と今後に向けて

 どの生徒も進んで英語を使おうとし、コミュニカティブな活動に進んで取り組んでいる。ライティング、リーディング、リスニングいずれもGTECのスコアが3年間を通して伸び、全国平均を上回るようにもなるなど、生徒の意欲的な姿勢は英語力の向上にも結びついている。また、2016年度入試での国公立大合格者数が最大規模となったことは、冒頭で述べたとおりだ。
 同校では、英語で自在に意思を疎通できる人材の育成を目指している。また、改革が進む近年の大学入試では、思考力や判断力、表現力が高い水準で必要とされるようになっている。目標を達成し、どの生徒にも志望進路を実現させられるように、今後も指導をブラッシュアップしていく。
 「英語によるディスカッションやプレゼンテーションを、今まで以上に積極的に取り入れることを検討しています。学校で作成しているCAN DOリストも活用しながら、指導力のさらなる向上に取り組んでいきたいと考えています」(五十嵐先生)。

左から斉藤先生、五十嵐先生

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