継続的に英語力の伸びを測定できる
スコア型英語4技能検定

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Vol.109Case

生徒が主役となるアウトプット活動を重視した
授業で、英語4技能を統合的に活用する力を育成

北海道札幌南高等学校

北海道札幌南高等学校

1895(明治28)年、旧制・札幌尋常中学校として開校。旧帝大をはじめとする難関国立大学に毎年合格者を送り出す、道内屈指の進学校である。重点目標として、「自ら探究し、学ぶ態度」と「自律ある行動ができる態度」の育成を掲げ、調和のとれた人格の形成、「堅忍不抜」「自主自律」の精神の涵養により、高い志を持った将来のリーダーの育成を目指している。行政機関や大学などとの連携の下、学校林における環境学習や勤労体験学習に力を入れている。
部活動も盛んで、陸上競技部、弓道部、ダンス部などが全国大会への出場実績を持つ。

基本情報
公立、共学、普通科
規模
1学年約320名
主な進路
国公立大は、東京大学12名、京都大学21名、北海道大学112名、国公立大学医学部医学科47名をはじめ302名(2017年度入試)

取り組みのポイント

  • retelling/reproductionやpresentation等のspeaking活動を重視し、生徒の「話すこと」への意識づけを重ねる。
  • 協働学習を積極的に取り入れたwriting指導で、writingとspeakingの両スキルの向上を図る。
  • 「GTEC」をwritingのスキルを測る全国的な指標と位置づけ、指導改善を推進。

取り組みの背景

 北海道札幌南高等学校の英語科では、生徒の英語力の総合的な向上を目標に、アウトプット活動を中心とする授業を推進している。以前はwriting活動(主に和訳を英文にするback-translation)でのアウトプットを軸としていたが、2013年度に現行学習指導要領が実施され、教科書が変わったのを機に、音声でのアウトプット活動にも力を入れることにした。英語科の手塚茂也先生は、次のように語る。
 「アウトプット活動をバランスよく充実させることによって、生徒は語彙や文法が『使うための英語』につながると気づきます。すると、インプットの質と量が充実し、さらにアウトプットの質と量が充実していくのです。いわゆる『本当の英語の力』というものは4技能をバランスよく伸ばしていくことにより身についてくると思っています」

取り組みの詳細

生徒が英語で考えてspeakingし、語彙や文法を活用する指導を徹底

 speakingの指導の柱と位置づけられる活動は、retelling/reproductionと自由発表/presentationだ。「コミュニケーション英語」での実践を見てみよう。
 授業は主に3つのパートで構成されている。1つ目は(例文を見ないでreproductionする)read &lookupである。ペアで行い、頭の中の意味内容を音声でアウトプットする練習を毎回行っている。リスニング力と英文のaccuracyを高め英語脳を作るための大切な活動である。
 2つ目は、教科書の内容を与えられたキーワードをもとに音声で再構築するretelling/ reproduction活動である。1回の授業で、<個人練習→ペアワーク→黒板の前で発表>まで行う。内容を伝えることを目標とし、なるべく自分の言葉で説明する、パラフレーズしてみる、構成を変えてみる、新情報を加えてみる、「外国語学習において間違うのは当たり前のことである」と認める等、英文暗記からの脱却を目指す指導を心がけている。同時に、適切な声の大きさではっきりと話す、聴衆(の反応)を見る、話す速さや間を工夫する等、プレゼンテーションにつながる指導も行っている。retellingは4人のグループで行うこともあり、グループでの作業分担やキーワードは生徒たちが決めている。
 3つ目は、自由発表/presentationである。基本的にはテーマも形態も自由。Show&Tell、パフォーマンス、紙芝居、寸劇、スマートフォンで画像・動画を提示し説明、PowerPointやKeynoteを用いたプレゼン等、生徒の意欲と能力に応じた発表を行わせている。生徒はpresentationの後に、自己評価シート(発表内容を英語で要約したものと発表の振り返りを記入したもの)を提出する(資料1)。相互評価は良かった点をメモさせるようにしている(資料2)。教師は、各単元の新出語彙やポイントとなる文法などを網羅的に解説したハンドアウトを作成・配布し、生徒はそれを参照しながら活動に取り組む。「授業という限られた時間を、生徒がより主体的に活動できる時間とし、英語で考え英語で発信する中で英語力を伸ばす授業にしたいと考えました」(手塚先生)
 現在1学年を担当している大塚徹先生はこう話す。「英語を難しい勉強ではなく、生徒の活動を中心とした楽しい学びにするように心がけています。『楽しい』という感情は、学びに向かう原動力になります。高校の英語は、中学の英語よりも難しくなりますが、そのギャップや難しい勉強で、生徒を英語嫌いにしたくないと思っています」
 文法の指導については、英語表現の教科書を用いて行っているが、入試のための文法問題の演習・解説に終始しない工夫をしている。「文法学習は実用につながってこそ意味があると思います。文法の表面上の意味や構造よりも、その文法を用いるべき状況・必要性の理解が深まるよう解説することを心がけています」(佐々木先生)

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【資料1】 プレゼンテーション後の自己振り返りシート

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【資料2】 プレゼンテーションの相互評価シート

クラスメートとの協働を通して、主体的に考えを深めていく生徒たち

 writingの指導においては、所定のテーマでエッセイを書く活動を中心に行う。どの生徒にも取り組みやすくするため、身の回りの具体的なテーマから始め、徐々に抽象的なテーマを設定するようにしている。
 1つのテーマにいくつもの切り口からアプローチできるよう、テーマについて各自がブレインストーミングを行ったり、ペアやグループになってアイデアを出し合ったりする時間を設けている。例えば、「趣味を仕事にすることの是非」をテーマにした際には、賛成・反対の2つのグループに分かれてディスカッションを行った。エッセイを書く前や書いた後に活動を入れることによって、考えを深め、さらにspeakingの練習が行えるように工夫を凝らしている。また、ペアワーク、グループワークを多用することにより「生徒同士の距離感が近くなり、お互いに認め合う・多様性を認める意識が高まり、自由発表/presentationをやりやすい環境を作ることにつながるのです」(手塚先生)
 さらに、4人1組になり、エッセイのテーマについてマイクロディベートを行うこともある(資料3)。生徒には、ディベートを通して考えを深めるだけでなく、相手の主張に即座に対応できるようになってほしいと考えている。英語科の大塚徹先生は、次のように言う。「実際の会話では、状況に応じて咄嗟に英語が口から出ることが重要です。そうなるための訓練も、総合的な英語力の育成には欠かせません」
 書いたエッセイは生徒同士で読み合わせ(peer-reading)、相互評価を行うよう指導している。そうした中で、読み手を意識して書く練習を積ませたいと考えている。エッセイはALTが添削することもあるが、accuracyよりもfluencyを重視しているため、毎回は行わない。120~150語のエッセイを書く生徒も珍しくない。
 「英語表現」の定期考査では、70語程度でエッセイを書く問題を出題する(資料4)。配点は15点とし、Grammar(5点)、Fluency(3点)、Structure(6点)、Overall Content(1点)という4つの観点から評価する。自然な英文を学べるよう、エッセイ問題はALTが作問・採点する。

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【資料3】 マイクロディベートに用いるプリント

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【資料4】 定期考査で出題されたエッセイを書く問題

本質的なwritingのスキルを測る指標を得て、さらなる指導改善につなげる

 生徒の英語4技能の力を測る指標として重視するのが、ベネッセの「GTEC」だ。英語の総合的な運用力が求められるアセスメントであるため、英語を「使う」ことに力を入れ、多彩なアウトプット活動を軸とする指導とは、親和性が高いと考えているという。英語科の多田めぐみ先生は、次のように述べる。「特に、writingのスキルを全国規模のスタンダードな基準で把握し、経年比較等も行える指標として、ありがたい存在です。一般的な模擬試験では、語彙や文法知識、逐語訳の力などが評価されますが、GTECは『英語で書いて伝える力』が評価されるので、本校が目指しているacademic writingがどのレベルまで到達しているのかを、客観的に見ることができます」
 指導改善にも、GTECを活用している。例えば、2017年度2年生の学年では、1年次に受検したGTECの結果を受け、2年次のspeakingの指導計画を練り直した。また、GTECで洗い出された課題に応じて、アウトプット活動のバリエーションを増やすなどの工夫を試みている。

取り組みの成果と今後に向けて

 一連の指導の成果は、生徒の姿に表れている。エッセイライティングの力や英語での表現の分野が大幅に伸び、多くの生徒がspeaking活動に意欲的に取り組むようになった。自由発表/presentationなどでは、聞き手を意識しながら話し方を工夫するといった生徒が増え、さらには、聞き手とインタラクションを図るという生徒も現れた。GTECのスコアも高く、4技能が統合された、真の英語力が身についていることがうかがえる。実際、readingで習得した文法や表現を、speakingやwritingで活用する生徒は、着実に増えている。
 大きく実を結んでいる同校の指導だが、今後はさらなる充実を目指す。例えば、英語を用いた発信力のさらなる向上に向け、プレゼンテーションの後に質疑応答できる英語力(質問する英語力と答える英語力)や上述したマイクロディベートで取り組んでいるような、状況に即応した会話力、準備していない素材への対応力などの育成にも力を入れる。さらに、真の英語力をしっかり伸ばしていくために、4技能を別々にではなく、統合的に評価する方法を検討中だ。また、大学入試改革には、現在の指導を整理していくことで対応できると考えているが、外部検定試験のデータを進路検討会の観点に加えていくなど、英語科と進路指導部との情報連携を検討中である。

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(左から佐々木先生、手塚先生、大塚先生)

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