継続的に英語力の伸びを測定できる
スコア型英語4技能検定

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Vol.112Case

アクティビティーを多く取り入れた活動型授業で、
生徒の英語への自信と発信力を高める

栃木県立壬生高等学校

栃木県立壬生高等学校

1962(昭和37)年、栃木農業高校定時制課程壬生分校から全日制普通科として独立。「自律創造、敬信快活」を教育の指標に掲げ、「自分を厳しく律し、己に克ち、いろいろなことに挑戦し、他人を思いやり、他人に優しく、明るく元気な」生徒の育成を目指す。2年次からは、人文・数理・生活・福祉・情報ビジネスの5コースを設置し、3年次の「総合的な学習の時間」は「壬生学習館」とし、地域社会との連携を図りながら各コースの特色に応じた内容を学ぶ。

基本情報
公立、共学、普通科
規模
1学年約160名
主な進路
関東首都圏の私立大、短期大学、専修学校、就職など多様な進路に進む

取り組みのポイント

  • ペアワークでの音読や暗唱を授業や定期考査に組み込み、発信力のベースをつくる。
  • 習熟度別クラスや英単語予備テストで生徒の競争心に働きかけ、自発的な英語学習を促す。
  • 「GTEC」によって定期考査とは違う観点から英語力を評価し、意欲向上につなげる。

取り組みの背景

 この学年を1年次から担当する英語科主任の仲江川勉先生は、同校に赴任した2010年度当初から、「成績下位層の生徒の学力をいかに引き上げるか」を重視してきた。英語では習熟度別の授業を行っているため、仲江川先生は下位クラスを担当し、学力向上に力を入れたが、思うような成果が得られなかった。
 そこで、アプローチの対象を変えてはどうかと考えたという。「本校には、学力はさほど高くなくても、英語を用いたコミュニケーションには関心を持っている生徒が少なくありません。そうした生徒を引きつけるような指導に力を入れ、英語の学習意欲と英語力を高めていきたいと考えました」(仲江川先生)

取り組みの詳細

定期考査の出題を工夫し学力レベルに合った目標を持たせる

 1年次の「コミュニケーション英語Ⅰ」では、習熟度別にA・B・Cの3クラスを設け、定期考査の成績に応じてクラス替えを行った。そこで、生徒の学習意欲の向上を図ろうと、B・Cクラスに対しては「上のクラスにいけるよう頑張れ」、Aクラスに対しては「今のクラスに残れるようしっかりやろう」と呼びかけた。
 1学期には、全クラスで中学校段階の振り返りに力を入れ、中学文法総復習用の教材を用いた授業を行った。クラスごとに教材の難易度を変え、Aクラスはやや発展的な内容、Cクラスは基礎・基本が中心の内容とした。定期考査では、「Cクラスの教材から5割、Bクラスから3割、Aクラスから2割」の割合で出題した。各クラスを担当する教師は、生徒への意識づけとして、例えばCクラスならば、「このクラスで使っている教材から5割出題されるから、そこは確実に得点しよう」と呼びかけた。仲江川先生はAクラスを担当しており、「最もレベルの高いクラスとして、80点以上を目指そう」と声をかけたという。「レベルに合わせた目標設定により、上位層の生徒にはプライドを持たせ、下位層の生徒には目標をクリアさせて達成感を感じてほしいという思いがありました。結果として、どのクラスの生徒も定期考査に前向きに取り組んでくれました」(仲江川先生)
 2学期からは高校の教科書を用いたが、全レッスンを終えることよりも、speaking活動を重視した。例えば、交互に教科書を音読するペアワークを毎回取り入れた。教師は音読にかかった時間を計り、生徒のやる気を引き出せるよう、「前回は○分かかったから、今日は1分短縮を目指そう」と声をかけた。授業で扱わないレッスンに出てくる文法は、説明の時間を設けてフォローした。
 2年次以降は、文系クラスで習熟度別授業を行い、教師は引きつづき「上のクラスに行きたい、残りたい」というモチベーションを持たせる声かけに力を入れている。

「話す」活動を授業やテストに入れ込み、発信の楽しさに気づかせる

 定期考査では、ペーパーテストに加えて「パフォーマンステスト」も行っている。例えば、1年次の1学期には、生徒3人がグループとなり、自己紹介文を暗唱し合った。Cクラスは英文1つ覚えて暗唱して5点満点、Aクラスは3つ覚えた中から1つを暗唱して10点満点と、クラスごとに内容や配点に差をつけている。ペーパーテストと同じく、学力が高い生徒にはプライドを持たせ、低い生徒には達成感を感じさせる狙いがあった。また、2年次の2学期末考査では、スピーチのテキストから「スピーチを会話文に直す」というペアワークを行い、クラスで発表し合った。
 パフォーマンステストを導入した背景には、「人前で英語を話すなんて、自分にはできない」と思っている生徒が多い中、英語を発信する楽しさを伝えたいという思いがある。「やってみたらできた」という、うれしい驚きを感じることも、英語への苦手意識を払拭するきっかけになると考えている。

単語予備テストで生徒間の競争心に訴え、自発的な学習を促す

 「コミュニケーション英語」では、週1回、単語テスト(10点満点)を行っていたが、対策を立てずに臨む生徒が多く、知識の定着に思うように結びついていなかった。そこで、2016年度入学生の学年では、単語テストのための予備テスト(5点満点)を毎回の授業で行うことにした。「日本語を英単語にする」や「例文に出てくる単語の日本語訳を答える」といった出題形式を教師が指定し、問題は生徒が作成する。前回の予備テストで同点だった生徒同士がペアになって採点し、得点が低かった生徒は、放課後などに間違えた問題を復習する。相手に勝ちたいという気持ちが生まれ、予備テスト対策にしっかり取り組む生徒が増えていった。それは、単語テストの点数の向上に結びついたという。「習熟度別クラスもそうですが、生徒一人ひとりが『負けたくない』という気持ちを持てば、学習に向かうモチベーションになります。競争原理をうまく活用していくことも、学習に前向きな生徒を増やすのに有効だと考えています」(仲江川先生)

授業の取り組み内容を適切に評価し、教員・生徒の励ましの材料として活用するGTEC

 以前からベネッセの「GTEC」の活用に力を入れ、1・2・3年次の7月と12月に実施している。過回のスコアとの比較によって到達度が測れる点、放課後や土曜ではなく、授業内で実施できてる点などから導入を決めた。
  2016年度入学生の学年では、「英語コミュニケーション」において、生徒の発信力を高めるために、教科書の文章をアレンジするなど、自分の考えを「書く」活動を積極的に取り入れているため、GTECのエッセイライティングも評価している。
 毎学期の期末考査後の2週間をGTECの事前指導に充て、『STEP UPノート』などを用いてwriting対策に力を入れている。
 ただし、上記2週間の事前指導を除いては、授業においてGTECの対策はしておらず、授業で取り組んでいる内容が適切に反映され、生徒だけでなく教員も励ます材料にできるテストとして捉えている。
 GTECの採点結果でも、writingのスコアに注目している。「私たちは英作文の採点をする時に、『三単現のsが抜けている』といった細かいことに目が行きがちです。しかし、GTECでは、英語話者が私たちとは違った視点で採点を行います。それも要因になっているのか、定期考査などの成績に課題のある生徒が、GTECでは高得点を取ることが少なくありません。『小さなミスを恐れず、積極的に意見を発信すれば評価されるのだ』という気づきによって、英語に対して前向きな姿勢が育っていると感じています」(仲江川先生)

取り組みの成果と今後に向けて

 2016年度入学生を対象に開始された取り組みは、早くも様々な成果として現れ始めている。目に見える結果として挙げられるのが、GTECのスコアだ。回数を重ねるごとにGRADE1の生徒が減ってきている。また、活動中心の授業に切り替えたことから、文法習得にかける時間が減って定着が遅れるのでは、という懸念もあったが、実際にはペーパーテストの結果が過年度に比べて低いことはなく、総合的な学力が身についていることが明らかになった。「英語をはじめ、他教科・科目でも自発的に学習に取り組む生徒が確実に増えています。例えば定期考査前には、放課後に教室に残って自主的に勉強する生徒がどのクラスにもみられるようになりました」(仲江川先生)
 今後の指導については、これまでの流れをくみながら、生徒の達成度や興味を考慮しつつ進めていく。現在の課題は、speakingのスキルをいかに高めるかだ。「まずは現在行っている暗唱の取り組みでしっかりした英文のストックを生徒の中につくり、そこからもとの文を少し変えて話すなどの形でレベルを上げていければと考えています」(仲江川先生)

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