継続的に英語力の伸びを測定できる
スコア型英語4技能検定

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Vol.90Case

段階的にコミュニケーション活動を積み重ねディベートなどの高度な言語活動につなげる

北海道滝川西高等学校 様

北海道滝川西高等学校 様

1973(昭和48)年開校。「志ある者は事ついに成る」という校訓のもと、地域から信頼される学校づくりに努めている。2007年度から3年間、スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール(SELHi)の指定を受けるなど、英語教育に力を注ぐ。2014年度入試では、国公立大に過去最多の28名の合格者を輩出したほか、例年、簿記会計や情報処理などの分野での資格取得にも高い実績を誇る。

基本情報
公立、共学、普通科、ビジネス科
規模
1学年約280名
主な進路
国公立大は、旭川医科大、北海道教育大、釧路公立大、小樽商科大、群馬大などに28名が合格(2014年度入試。現役のみ)

取り組みのポイント

  • 卒業時の到達目標から逆算し、時期ごとの目標を設定したCAN-DOリストをもとにシラバスを作成。
  • English Salon、Small Talkといった言語活動を通して、段階的にコミュニケーション力を育成。
  • 1年次からの学習の積み上げにより、3年次でディベート・ディスカッション・プレゼンテーションなどの高度な言語活動を実践。

取り組みの背景

 SELHi指定後も学校独自の指導改善を継続し、2012年度、2013年度には文部科学省「英語力を強化する指導改善の取組」、「英語によるコミュニケーション能力、論理的思考力を強化する指導改善の取組」の拠点校となるなど、新課程下で求められる「英語4技能を統合的に活用できるコミュニケーション能力の育成」に努めている。2014年度より、学校独自の「滝川西グローバル・プロジェクト」を開始し、さらなる指導改善に取り組んでいる。

取り組みの詳細

4技能ごとに作成したCAN-DOを生徒の状況に合わせてアレンジして活用

 同校の英語教育の支柱となっているのが、GTEC for STUDENTSのcan-do statementsなどを参考にして、4技能ごとに設定したCAN-DOリストである。初めに卒業時の到達目標を設定し、そこから逆算して時期ごとにより具体的な到達目標を設定する形で作成されている(資料1)。さらに、CAN-DOリストの内容をいかに実現するかという観点から英語教師が議論し、具体的な指導計画を落とし込んだシラバスを用意している。
 SELHiの指定を受けていた時期に初めてCAN-DOリストを作成し、以後、毎年度、生徒の実態や指導改善の状況に合わせてアレンジして活用している。現在の卒業時の到達目標は、コミュニケーション能力と論理的思考力の育成を重視する観点から、普通科はディスカッションやマイクロディベート、ビジネス科はプレゼンテーションがいずれも英語でできるようになることだ。「CAN-DOリストには、各時期にどのような能力を獲得しながら、最終的にこうした言語活動が出来るようになるか、順を追って整理されています」と、3学年普通科担当の本川真幸先生は話す。
 CAN-DOリストの実効性を高めるために、レベル設定は深く考慮している。英語科主任の佐々木康希先生は、「CAN-DOリストは、上位層だけのためのものではなく、あくまで全生徒が到達できるレベルと考えています」と説明する。
 CAN-DOリストは生徒にも示している。3学年普通科担任の安田真由美先生は、「CAN-DOリストを見せながら、例えば、『2年生でプレゼンテーションをするために、こういう能力が必要だ』などと説明すると、生徒はゴールを意識して目の前の学習に前向きに取り組むようになります」と、狙いを説明する。

【資料1】CAN-DOリスト

マイクロディベートやディスカッションを実現するための段階的な指導

 卒業時の到達目標として設定されているマイクロディベートやディスカッションといった高度な言語活動に向けた段階的な指導として、1年次からEnglish SalonとSmall Talkという2つの言語活動を継続的に取り入れている。授業の冒頭の5~10分間でウォームアップとして取り入れることもあれば、授業1コマを充てる場合もある。これらの活動の狙いについて、1学年普通科担任の木村滋雄先生は、「入学時に英語を苦手としている生徒が多いため、コミュニケーション体験を重ねることで、まず英語を使うことへの抵抗感をなくし、英語を好きにさせることに重点を置いています」と説明する。
 English Salonは主に入学直後から2年次まで実施するグループ活動で、生徒同士によるQ&Aを行う。コミュニケーションの基本である質問と回答の仕方を身につけさせ、Quick ResponseやFluencyを高めることに狙いがある。内容を具体的に見てみよう。生徒が3人グループとなり、1人が他のメンバーからの質問に答える。例えば、“Do you like sports?”という質問なら、“Yes.”で終わらず、“I like volleyball.”と、 1文を加えて返すのがルールだ。さらに会話を発展させるために、聞き手は“Oh, you like volleyball!”といったEchoing、また“That’s nice.”といったPositive Feedbackなどのリアクションをするように指導している。質問は、教師が既習内容からリストを作成し、生徒が慣れるに従ってレベルを上げていく。また良い質問や回答に対してポイントを与えることで、競争意識を芽生えさせ、コミュニケーションを活発化させている。
 Small Talkは1年次後期から3年次にかけて実施するペア活動で、基本的な会話の型を修得させることを目指す。教師からトピックが提示されると、ペアでじゃんけんをして、質問する役(A)と、自分の意見を言う役(B)を決める。Bの意見に対して、Aはechoingをした後、関連する質問を投げかける。それに対してBは、一文を加えて答える。その後、次々にペアを変え、snowballing(自分の意見に他者のアイディアや表現を付け加え、考えを広げて発話量を増やしていく手法)をしながら会話の量と質を高めていく。最後にJTE(Japanese Teacher of English)からフィードバックを受ける。
 English SalonとSmall Talkには相乗効果が見られると、1学年ビジネス科担任の畑野好美先生は話す。「English Salonで覚えた表現をSmall Talkの中で活用するなど表現力がよく伸び、次第に長い文章を話せるようになります」。
 このほかに段階的な指導として、「コミュニケーション英語Ⅰ」の授業でレッスンの各パートを音読して頭に入れてから、図やイラストを見てRetellをする活動、理科とコラボレーションして自然科学に関するテーマのグループ発表を行うアウトプット活動などがある。ビジネス科では、2年生が1年生の前で修学旅行のおすすめスポットについてのグループ発表も行っている。

3年次には2年次までの力を土台により高度な言語活動に取り組む

 2年次までのEnglish SalonやSmall Talkといった言語活動を通し、生徒は英語を使うことに慣れるとともに、伝えたいことを表現したり、相手の話を聞いて反応を返したりすることができるようになる。こうした力を土台として、3年次ではマイクロディベートやディスカッションといったより高度な活動に取り組む。
 マイクロディベートは、3人グループで行う簡易ディベートだ。最初に賛成(A)、反対(B)、審判(C)の役割を決め、教師が提示したテーマに関して、Aが1分30秒程度で立論を行い、B、Cはメモを取りながら聞く。次にBはAの立論を要約した後で立論を行い、A、Cはメモを取りながら聞く。ここで一旦、個人活動に移り、A、Bは相手への反論を考え、CはA、Bの立論を見直す。
 再びグループになり、AとBは立場を変え、それぞれ反論とEchoingを行い、Cはメモを取りながら聞く。最後にCは勝者を決め、その理由を英語で伝える。
 旧課程学年である現3年生は、ライティングの授業でマイクロディベートを実践した。「賛成・反対の両方の視点で考えてから同じテーマでライティングをすることで、思考や表現に深まりが生まれると期待しました」と、安田先生は狙いを話す。英語教育に特に力を入れていた普通科の国際文化コースでは、グループが対戦するパーラメンタリーディベートも行った。より即興性を高めるためにテーマを直前に発表し、賛成側、反対側のグループに分かれて議論を戦わせ、最後に審判グループがどの生徒も納得できるような理由とともに勝利グループを発表した。  一方、ディスカッションは、4人グループで意見を伝え合う活動だ。教師が提示したトピックに関して、個々に考えをまとめた後、生徒Aは意見を発表、Bはメモ、C、DはEchoingを行う。役割を変えながら一巡した後、個々にスピーチ練習をする。続いて、ペアを変えながら相手にスピーチする活動を繰り返し、最後はクラスに向けて発表したり、スピーチをもとにライティングしたりする。旧課程ではリーディングの授業で行い、文章を読んで考えたり感じたりしたことを伝え合って、内容理解を深めることを狙った。

複数の教師が観点別に採点するパフォーマンステスト

 リーディング、リスニングを評価する定期考査の前後に、スピーキングやライティングを評価する方法としてパフォーマンステストを導入し、観点別の評価を実施していることにも注目したい。
 パフォーマンステストの形態は、評価したい能力や観点により、教師と一対一のインタビューテスト、クラスを前にしたプレゼンテーション、またグループでのディスカッションなど様々なバリエーションを持たせている。生徒には事前にルーブリックを示し、何の力をどのような観点で評価するかを伝えている(資料2)。「従来のペーパーテストに慣れている生徒たちは、パフォーマンステストでの評価内容を伝えると、『話すことが評価されるのか』と新鮮な思いを抱き、言語活動への意識がより高まる姿が見られました」と、1学年普通科担当の石山智浩先生は語る。  評価はA、B、Cの3段階で行い、複数の教師が採点することで客観性や妥当性を確保している。年度当初はビデオで録画し、生徒のパフォーマンスを見ながら教師同士が基準を共有している。「パフォーマンステストは手間がかかりますが、普段はあまり目立たない生徒が輝く姿が見られます」と、2学年普通科担任の堀秀和先生は言う。
 また定期考査の終了時には、観点別に得点を集計した学校独自の評価シートを答案とともに返却(資料3)。そして評価シートのデータをもとに、振り返りシートで学習を振り返って反省し、自ら次の目標を設定するように促している(資料4)。
 校内のテストの客観性、妥当性を高めるため、外部テストの活用にも積極的だ。普通科、ビジネス科ともにGTEC for STUDENTSの継続的な受検に加え、2014年度は普通科の2、3年次にGTECスピーキングテストを新たに実施した。こうした外部テストの出題や評価の方法は、校内のパフォーマンステストにも反映させている。生徒からも「授業でのスピーキング活動が役に立った」 「もっとスピーキングの訓練を積まないと」といった気づきの声が聞かれたとのことだ。

【資料2】ルーブリック

【資料3】評価シート

【資料4】振り返りシート

取り組みの成果と今後に向けて

 スピーキングを重視した言語活動の成果は、スピーキング力のみならず、幅広い技能にも広がっている。「友人の話を聞く機会が多いため、リスニング力が高まっているほか、たくさん英語を話すことでアウトプットの力が総合的に伸び、ライティング力も伸びていると感じます」(佐々木先生)。
 こうした成果は、GTECスコアの著しい上昇からも明らかだ(資料5)。また、ディベート、ディスカッション指導に特に力を入れた普通科国際文化コースでは、「自分の意見を述べる力」が全国平均に迫り、国際文化コースと比べて英語の授業時数が少ない人間文化コースでも好成績を残すなど、指導の成果が表れた(資料6)。
 生徒が英語を使うのを楽しむ姿が日常的に見られることにも、教師は大きな手応えと喜びを得ている。生徒には話し手・聞き手の双方の姿勢が育ち、授業では間違うことを恐れず、堂々と英語を話したり、リアクションをしたりする姿が印象的だ。「英語力が伸びたことを喜び、授業外でも、積極的に英語で話しかけてくる生徒もいます。自分が使うことを考え、『この単語はどう発音するのですか?』などと具体的に質問する生徒も増えています」(畑野先生)。
 今後も、4技能をバランス良く高め、コミュニケーション力や論理的思考力を育てる指導を強化していく方針だ。

【資料5】GTECスコア推移(普通科)

【資料6】GTEC Speaking Test パート別成績

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