継続的に英語力の伸びを測定できる
スコア型英語4技能検定

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Vol.91Case

「発信力」の向上をキーワードに指導改革を進めスピーキングをはじめとした活動メインの授業を実践

岐阜県立岐阜北高等学校 様

岐阜県立岐阜北高等学校 様

1941(昭和16)年に旧制・岐阜市立中学校として開校。「変わらぬ色の三つ柏 若き生命 高き志操 ペンの象る 英知をもちて」という校訓のもと、知・徳・体の調和のとれた生徒の育成を目指している。また「文武両道」を旨としており、生徒は勉学や部活動にバランス良く取り組む県内屈指の進学校である。近年、さらに進学実績を伸ばし、2014年度入試では248名の国公立大合格者を輩出した。

基本情報
公立、共学、普通科
規模
1学年約360名
主な進路
国公立大は、京都大、大阪大、名古屋大、岐阜大、金沢大などに計248名が合格(2014年度入試)

取り組みのポイント

  • 教科担当同士の連携を重視し、指導案やワークシートを共有してチームで指導。
  • レッスンごとに、スピーキングを中心とした4技能からメインとなる活動を設定して授業を構成。
  • あらかじめパフォーマンステストの形式や内容を生徒に伝え、レッスンを通して身に付けるべき力を意識させる。

取り組みの背景

 同校では新課程への移行に伴い、現2年生の学年から主に「コミュニケーション英語」の授業で、スピーキングをはじめとした4技能の育成に力を注いでいる。指導改革は、英語科主任の瓜田裕哉先生と2学年英語担当の西脇幸太先生が中心となって進めている。
 コミュニケーションを主体とする授業へと舵を切るにあたり、校内ではどのような議論があったのだろうか。瓜田先生は、「何も特別なことをするわけではないという共通認識があり、比較的スムーズに進みました。アウトプットを重視した活動中心の授業への移行は、受験指導と相反するものではなく、むしろ土台の底上げにつながると考えています」と説明する。
 アウトプット活動を通し、生徒の英語力はどのように伸びていくのか。西脇先生は、「例えば、スピーキング活動は、頭の中にあるものを表出する訓練となり、その力はライティングにもつながります。また、教科書の内容を自分の言葉で要約して話す活動により内容理解が深まり、リーディング力も伸びるでしょう。そのようにアウトプット重視の学習を通し、英語の力は総合的に伸びていくはずです。もちろん、入試問題の形式に慣れ適切に対応するための指導も必要ですが、それは受験期直前で間に合うと考えています」と説明する。

取り組みの詳細

教科担当がCAN-DOリストを踏まえ合議して指導案を作成

 現2学年の英語は教師4人が担当しており、合議して作成した共通の指導案に基づいて授業を進める。指導案の作成は、レッスン(単元)ごとに伸ばしたい技能を検討し、メインとなる活動を決めることから始まる(資料1)。各レッスンのメインとなる技能は、1つのことも複数のこともある。例えば、議論をするのにふさわしいレッスン内容であれば、スピーキング活動をメインに定める。そしてCAN-DOリストのスピーキングの到達目標を踏まえ、そのレッスンで付けたい力を具体的に想定し、レッスン終了時の評価方法を検討する。あるいは、レッスンの最後にパフォーマンステストを実施して到達度を評価するとしたら、次にそのパフォーマンステストをクリアするために必要な学習を検討して授業構成を検討していく。
 教師4人はワークシートなども共有し、チームで指導を進めている。そのようにして授業のゴールや要素を共通化する一方で、各教師のキャラクターや指導技術が生かせるように、教え方や流れなどは自由度を持たせている。

【資料1】指導案

生徒は表現の枯渇状態を認識し音声CDに集中して耳を傾ける

 スピーキングをメイン活動とするレッスンの授業の流れを見ていこう。
 授業は、2コマ1パート(1レッスン4パート構成)が基本となる。1コマ目は、教師が示したパートに関連するトピックについて、ペアを組んで英語で意見を述べ合うスピーキング活動から始まる。「生徒はまだ何も学んでいないのでほとんど話せませんが、あえて表現や内容の枯渇状態を認識させようという狙いがあります。そのため、家庭でも教科書を読んでこないように伝えています」(西脇先生)。
 生徒は言葉が出ない苦しさを体験するからこそ、続いてパートの音声CDを流すと、集中して聴き取ろうとするという。リスニングではパートを短く区切り、聴き取れたキーワードをペアで確認しながら進め、全員が理解できるようにしている。
 その後、聴き取った内容をもとにワークシートのT or F問題や穴埋め問題に取り組み、パートを通した内容が「ぼんやりと理解できた」という状態に持っていく(資料2)。そして再びペアになり、パートの内容の要約と自分の意見を伝え合い、1コマ目の授業を終える。
 家庭学習は復習が中心となる。教科書を見ながらT or F問題や穴埋め問題を解いたり日本語訳を課したりするが、2コマ目の授業内容を考慮して何も課さない場合も多い。
 2コマ目は、内容を深く理解した後にアウトプットの活動に移る。「本文を精読して内容理解を深める学習は大事だが、後半のアウトプットにより多くの時間を割くために、教師が説明する時間をなるべく短縮する工夫をしています」と西脇先生が語るように、初めに時間短縮のためにサイトトランスレーションをプリントで配布し、重要な表現や文法の説明も最低限に留めている。また、新出語彙はレッスン全体のものをプリント1枚にまとめ、各授業の冒頭で全パートの語彙を確認する(資料3)。繰り返しリマインドすることで定着度を高めるとともに、時間短縮の狙いもある。
 続いて、アウトプット活動の準備段階として音読を行う。単純な教科書の音読に始まり、教科書を閉じての暗唱、ペアで本文の内容について一文ずつ説明し合うゲーム、続いて本文の内容に自分の考えを加えて伝える活動といったように、徐々に即興の要素を強めていくのが特徴だ。そして最後は、1分30秒間に自分の意見を伝えて相手に質問するという会話形式のスピーキング活動を行う。「アウトプットの声量が理解度のバロメーターになります。内容理解が浅い場合はペアで内容を確認し合い、場合によってはペアを変えてもう一度行います。表現が定着していない場合は、教科書の参照を許可することもあります」(西脇先生)。

【資料2】授業プリント(LESSON9 Part1)

【資料3】ボキャブラリーシート

統一的な評価ができるようにパフォーマンステストの採点基準はシンプルに

 スピーキング活動の評価として、パフォーマンステストを採り入れていることにも注目したい。パフォーマンステストの形式や内容は、レッスンの冒頭で生徒に伝えている。ゴールを明確に示すことで、レッスンを通して身に付けるべき力を強く意識させるのが狙いだ。
 2学年では、前期と後期に各1回スピーキングのパフォーマンステストを実施した。前期はテスト直前に提示した5つのキーワードを使ってパートの内容を要約、後期はその場で指定したペアで「自由とは何か」というテーマで会話するという内容だ(資料4-1)。1コマで全員を評価するために、後期はペアの発表時間を1分30秒とした。
 4人の教師の間にズレを生じさせないため、評価の基準はシンプルなものにしている(資料4-2)。前期は要約の中に全てのキーワードを入れることができれば得点を与え、後期は自分の考えを伝えるとともに相手と会話を続けようとする姿勢が見られるかを重視するなど、相手によって評価に差が生じないように配慮した。

【資料4-1】パフォーマンステスト後期(後期)

【資料4-2】評価シート(後期)

インプットと文章構成を重視する指導で生徒のアウトプット力を伸ばす

 スピーキング力を高めるために、ライティング活動を取り入れていることも見逃せない。ライティングをメイン活動とするレッスンでは、パラグラフ・ライティングの指導を通じ、質の高いアウトプットのためには、インプットと文章構成が重要であることを説明。論理の展開法などについて指導するとともに、英語の授業の時間に図書館で情報収集をする活動を行ってインプットの重要性を伝えている(資料5)。生徒が書いたものは集めて冊子などにまとめることはあるが、一つひとつ細かく添削しないという。「アウトプットまでのプロセスを体験することで力は十分に伸びるため、必ずしもフィードバックは必要ではないと考えています」(西脇先生)。
 コミュニケーション英語と英語表現の授業を関連付ける指導も興味深い。例えば、コミュニケーション英語の授業でアウトプットの時間を確保するために、文法などの詳しい解説を英語表現の授業で行うことがある。また、英語表現で学習した文法や表現を、コミュニケーション英語の授業の中で意識して使わせるようにしている。

【資料5】パラグラフライティング指導資料

取り組みの成果と今後に向けて

 GTECのスコアが過年度と比べて高まっている(資料6)。特にリスニングが向上している要因として、スピーキング活動によって相手の話を聴き取る場面が増えたことに加え、授業の流れを変えたことも大きいと考えている。「以前は訳読してからリスニングをさせていましたが、今は授業冒頭の何も学んでいない状態で、あえて聴かせることを繰り返しています。こうした学習の積み上げにより、初めて出合う英語を理解する力が高まっていると感じます」(瓜田先生)。
 英語を使うことに喜びを感じ、「もっと勉強したい」という自主性を見せる生徒が増えていることにも、教師は手応えを感じている。教師は、希望する生徒と英語の交換日記をするなどして、生徒の前向きな気持ちに応えている。
 コミュニケーション英語と英語表現を同時に大きく変えるのは負担が大きいという判断から、これまではコミュニケーション英語を中心に指導改善を進めてきたが、徐々に英語表現を変えようとする動きも強まっている。
 前述のようにコミュニケーション英語の授業とリンクさせる取り組みのほか、問題の答え合わせをする時間を極力短縮することにより、ライティングを中心としたアウトプット活動も増やしている。今後は、コミュニケーション英語と英語表現の双方の指導改革によって相乗効果をもたらし、4技能を総合的に高めていく方針だ。

【資料6】GTECトータルスコア度数分布 過年度比較

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