継続的に英語力の伸びを測定できる
スコア型英語4技能検定

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Vol.93Case

ICTの活用などで生徒が英語を使う場面を増やし4技能を主体としたコミュニケーション能力を育成

名古屋市立名東高等学校 様

名古屋市立名東高等学校 様

1984(昭和59)年開校。普通科と国際英語科とを擁し、教育目標である「平和を愛し、広い国際的視野に立つ人間」「心身共に健全で、自主自立の精神を持つ人間」の育成を目指す教育活動を展開している。特に国際理解教育や国際交流に重点を置き、2003年度から3年間は文部科学省のSELHi(Super English Language High School)に指定された。その際に開発したコミュニケーション能力の育成を重視した指導法(名東メソッド)は、現在の普通科・国際英語科の英語教育に引き継がれている。また、2014年4月からはユネスコスクールに認定された。学業のみならず、生徒会活動や部活動も盛んであり、高校総体に過去3回出場しているサッカー部をはじめ、全国・東海大会に出場する部が少なくない。

基本情報
公立、共学、普通科・国際英語科
規模
1学年360名(現2学年のみ400名)
主な進路
名古屋大、名古屋工業大、愛知教育大、愛知県立大、名古屋市立大などの国公立大学に計116人が合格(2015年度入試/現浪計)

取り組みのポイント

  • CAN-DOリストに加え、技能ごとに具体的な到達目標を設定して、チームで指導に取り組む
  • 「音読」の重視、パフォーマンステストの導入などにより、4技能のバランス良い向上を図る
  • 世界の諸問題について考え、アクションを起こす体験プログラムを通して、国際感覚を養成する

取り組みの背景

 同校は、かねて国際教育や英語教育に力を注いできたことから、英語に高い関心を持って入学する生徒が比較的多く、いかに意欲を維持・向上させながら実践的な英語力を伸ばすかを追究している。
 SELHiでは、リスニング、ライティング、プレゼンテーションの3つの活動を通し、英語によるコミュニケーション能力の向上を図る指導法を研究し実践を重ねてきた。新課程への移行を機に、この指導法をベースとして4技能をバランス良く伸ばすカリキュラムを模索している。また、2010年、英語科から改編された国際英語科では、英語力と共に、優れた国際感覚を育てるプログラムの開発に注力している。

取り組みの詳細

4技能を育てる柱の活動として全パートを最低5回は「音読」

 英語指導は「チーム名東」をモットーとし、個々の教師ではなく、チームで進めている。生徒に付けさせたい力を共有するため、新課程に移行するタイミングで、3年間のCAN-DOリスト、及びそれに基づく学年の到達目標を設定した(資料1)。到達目標は技能ごとに具体的に示されており、教員が指導指針としている。では、実際の授業でどのように4技能の育成を目指しているのだろうか。
 初めに、「読む(音読)」と「話す」活動に重点を置く「コミュニケーション英語Ⅰ」の流れを紹介する。授業1コマで英文1パートを完結する流れを基本とする。まず教師によるオーラル・イントロダクションとして、前時の内容を英語で復習するなどウォーミングアップをしてから、デジタル・フラッシュカードを用いて新出単語を確認する。続いてフレーズ・リーディングに移り、音読やシャドウイングを繰り返す。英語科主任の瀬古径代先生は、「音読は4技能育成の柱となる活動と位置づけていますので、どのパートも、何らかの形で5回は読むようにしています。生徒が集中力を維持しながら繰り返し読めるように、虫食いの本文をスクリーンに投影して空所を埋めながら読んだり、適度なスピードで画面から消えていく本文を追いかけてリズミカルに読んだりする工夫をしています」と話す。次にT/F問題で内容確認をした後、生徒がペアになり、キーワードを踏まえてパートの内容を説明するリテリングを行う。さらに、パートに対する自分の考えを英語で相手に伝えるとともに、その内容をライティングする(コミュニケーション英語Ⅱも同様)。
 授業中、教師の発言は最小限に留め、生徒が英語を使う場面を増やすことを重視している。活動の時間を確保するために、教科書の本文を投影して板書の時間を短縮するなど、ICTを積極的に活用するのも特徴だ。

【資料1】英語科3年間のCAN-DOリスト、1学年指導目標

週1回外国人講師によるconversationのレッスンを実施

 同校の英語教育の大きな特色として、コミュニケーション英語Ⅰの週4コマのうち1コマは、専任の外国人講師が担当するconversationのレッスンとしている点にも注目したい。外国人講師は2名いるため、レッスンでは1クラスが半分に分かれ、会話表現などを中心に学ぶほか、実際に会話をする場面も多く設けている。「学びをより深めようと、コミュニケーション英語Ⅰの通常の授業とのつながりを持たせることも意識しています。例えば、外国人講師から学んだ表現や言い回しをリテリングのキーワードに設定するなど、常にリマインドして関係づけています」(瀬古先生)。
 一方、「英語表現Ⅰ」では、「書く」と「話す」活動に力を入れる。文法や構文を学んでからペア活動に移り、生徒が教科書のテーマなどに関して自分の考えを述べ、ライティングを行う。「授業で学んだ文法や構文を自分のものとして獲得できるように、最後の表現活動では、自身の考えに結びつけて発信させています」(瀬古先生)。

自由英作文を含む定期考査に加えパフォーマンステストを導入

 評価の方法にも工夫を凝らしている。
 コミュニケーション英語Ⅰ・Ⅱの定期考査では授業内容の理解度を問うほか、教科書のテーマに関連して自分の意見を書く問題を設けている。英語表現Ⅰの定期考査は文法問題と表現問題に分かれ、表現問題では教科書に載っているイラストについての感想を60語程度で自由に書くといった問題が出される。こうした英作文の採点は、「キーワードを用いているか」「テーマに沿って書いているか」など、内容を重視して評価する。英語を使って伝えたいという生徒の意欲を伸ばそうと、スペルや文法のミスでは減点しない。
 新課程の開始に伴い、学期に1回、スピーキングのパフォーマンステストも実施するようになった(コミュニケーション英語Ⅱでは年に1回)。LL教室で録音した生徒2人1組の会話を、事後に教員が評価する。2014年度のパフォーマンステストは、前半をconversationのレッスンに関する内容、後半を教科書に関連する問題で構成した。例えば、ペアとなる2人に別々のプリントを渡して異なる情報を持った状態にし、お互いに情報交換をすることで問題を解いていく設問などがある(資料2)。日頃のconversationの授業で繰り返し練習するため、情報交換のために必要な英語でのやり取りは円滑に行われる。
 パフォーマンステストの評価では、文法的な正確性よりも何について話すかを重視している。1学年担当の図子新先生は、「『自分の意見があるか』『意見がきちんと相手に伝わっているか』『教科書に関連するテーマでは、キーワードを意識しているか』などに着目しています。生徒が積極的に会話できるように、なるべく点数を多く与える方針で評価しています」と説明する。

【資料2】1年次パフォーマンステスト抜粋(ペアとなる2人に別々のプリントを渡してテストを行う)

体験的プログラムを通して国際感覚を育成

 国際英語科は、英語力に加えて国際感覚の育成にも力を注ごうと、英語科を改編して設けられた。国際人としての教養や資質も、グローバルに活躍する人材に欠かせないと考えるためだ。こうした方針を踏まえ、「世界中どこでも役立つ人になろう」「思いのままに英語を使いこなそう」の2つをキャッチフレーズとして、国際理解教育と英語教育を推進している。
 新学科の目玉として新設したのが、1・2年次で展開する学校設定教科の「ワールドスタディーズ」である(資料3)。この教科は、教員が教科や校務分掌から独立した立場で集まる「ビジョン委員会」の検討によって生まれた教科横断プログラムで、講義形式は最小限に留め、アクティビティ、外部講師を招いたセミナー、またワークショップなどの多彩な学習形態を通して、生徒の主体性を引き出している。「多様な文化が存在し、互いに関わり合う世界で、国際人として責任ある生き方をするために必要な知識、姿勢、技能を身に付ける」を目標とし、2年間で世界の諸問題を知り、考えを深め、行動につなげるというプロセスをたどる。

【資料3】ワールドスタディーズ概要

 授業は、本校教員と外部の講師によるTeam Teachingで行う。1年次では環境問題や貧困問題など世界の諸問題について考え、解決の方策を話し合う。例えば、貧困問題を考える授業では、フェアトレードの専門家を講師に招いたり、グループごとに「貿易ゲーム」をして貧困が生じる原因を体験したりして多角的な理解を促す(資料4)。国際英語科主任の板垣真由美先生は、「地球温暖化問題では、その影響や結果について各国や動物の立場に分かれて意見を出し合うロールプレイを行います。こうしたアクティビティを通し、体験的に国際感覚を育てたいと考えています」と述べる。

【資料4】ワールドスタディーズ指導資料(貧困問題を考える)

 2年次では活動の幅を広げ、自分の興味に応じて少人数のゼミに分かれてリサーチを進める。1学期中の中間報告を経て、夏休みにはNGOやNPOなどの活動に参加し、9月に最終報告をする。また、11月の修学旅行で韓国の姉妹校「城南外国語高校」を訪問する際には、英語でリサーチや夏休みの活動で体験したことを発表する。3学期には英語によるまとめのプレゼンテーションを行う(資料5)。

【資料5】英語プレゼンテーション指導資料

取り組みの成果と今後に向けて

 2014年12月に1学年の全員が受験したGTEC for STUDENTSでは、ライティングを中心に教師の期待を上回る好スコアとなった(資料6)。「4技能を伸ばす指導の成果の表れと捉えています」(瀬古先生)。さらに今年度は、12月に1、2学年の全員でGTEC for STUDENTSを受験し、4技能の指導成果をスコアの伸びで確認する予定だ。
 授業では、書いたり話したりすることへの積極性が見て取れる。教師がペアワークの指示を出すと、どの生徒もすぐに会話を始めるようになった。「特にパフォーマンステストを導入してからは、授業中のペアワークへの参加意識が大きく向上したと感じています」(図子先生)。
 国際英語科では、ワールドスタディーズの授業に、とても熱心に取り組む生徒が増えている。「『英語』に対する関心の高さほどには『国際理解』や『ESD』について知識を持たずに入学した生徒も、1年、2年と学ぶにつれて、非常に意欲的に取り組む姿が見られるようになりました。プログラムを通して主体性を伸ばしてきたからこその変化だと感じています」(板垣先生)。
 国際貢献活動などへの関心が高まり、留学希望者が増加し、海外大学を志望する生徒もいる。今年度は、海外留学支援制度の「トビタテ留学JAPAN」に自ら応募し、7名の生徒が審査を通り留学への準備をすすめている。また、ワールドスタディーズの取り組みは地域からの注目度も高く、国際英語科の入学試験の倍率は上昇傾向にある。
 「意欲的な生徒の中から、『ワールドスタディーズを通して得られた知見を普通科の生徒や地域にも広げたい』といった声が挙がっていることも大きな成長です。『もっと発信したい』という姿勢が見られるようになったことを、喜んでいます。今後の課題として、学内外に広げていく方策を話し合っていきたいと考えています」(板垣先生)。

【資料6】GTECスコア(1学年次12月)

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