継続的に英語力の伸びを測定できる
スコア型英語4技能検定

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Vol.94Case

「なぜ英語を学ぶのか」に徹底的にこだわり
「チーム17期」としての団結力を育む

兵庫県立香寺高等学校 様

兵庫県立香寺高等学校 様

1949(昭和24)年に兵庫県立福崎高等学校神南分校として開校し、1974(昭和49)年に普通科となって現校名に改称。1997(平成9)年に総合学科に改編した。2年次から希望進路や学びたい内容に応じて、文理総合・医療看護・児童保育・健康科学・芸術文化・情報ビジネスの6系列から一つを選択。キャリア教育に力を入れており、キャンパス・職場見学、大学模擬授業、職業人座談会などの豊富なプログラムが用意されている。部活動は9割の生徒が加入しており、特にウェイトリフティング部は全国大会の常連として知られる。

基本情報
公立、共学、総合学科
規模
1学年約240名
主な進路
国公立大は、兵庫県立大、富山大、島根大、高知大に計4人が合格。私立大は同志社大1人、近畿大6人、甲南大3人など延べ174人が合格(2015年度入試/現浪計)

取り組みのポイント

  • 予習指導や目標設定の工夫で「英語を学ぶ意味」を意識させる
  • GTEC for STUDENTSの全員受験や共通教材で団結力の向上
  • ALTの徹底活用によりコミュニケーションへの意欲を高める

取り組みの背景

 例年、入学当初の生徒の学力層は幅広く、2013年入学の17期生(現3学年)も同様だった。同校の入試は、国数英理社の5教科のいずれか一つを実技に替えることができる。国語や数学が極端にできなくても実技が優れていれば入学は可能で、不得意教科を受けずに入学する生徒も多い。中でも実技に代替する生徒が多い教科が英語であるという。高い英語力をもった生徒から中学内容が身についていない生徒まで、英語力に大きな差があるのが例年の課題だった。

取り組みの詳細

4・5月の放課後補習で徹底した学び直しを実施

 1年次の指導は、中学内容の学び直しから始まる。同校では例年、入学当初に中学内容の定着度を測る課題考査を実施し、成績不振者に対して入学後の4・5月、放課後補習を実施している。17期生では、be動詞と一般動詞の区別がつかない、疑問文に対して適切に答えられないなど、基礎基本が理解できていない生徒が40人ほどおり、下位層の底上げが喫緊の課題だった。
 中学で学ぶ基本的な内容を補習プリントで学ばせ、最後に入学時の課題考査と同じ問題に取り組ませて習得度を確認する。実施にあたっては、部活動に支障が出ないよう週1回・各30分でおさまるように配慮した。
 17期生では、英語の基礎基本だけではなく、なぜ苦手教科を勉強しなければいけないのかという、学びに対する根本的な姿勢を身につけさせることも意識したという。中学内容が分からなければ次のステップに進めないということを理解させ、授業の受け方や宿題・提出物への取り組み方など、英語の指導にとどまらない「学習のルール」まで細かくレクチャーした。
 特に大切なのは、いかに速やかに「つまずき」を解消させるか。英語に限らず、苦手教科の授業でつまずいている生徒は、分からないまま授業が終わるのをただ待っていることが多い。分からないと思ったら、先生を見る、手をあげるなど、どのようなサインを出せばよいかということまで教えた。3学年主任の北川(ゆき)先生は「英語を実技に代えて入学してきた生徒は、他に秀でた教科をもっていることも少なくありません。英語ができないばかりに志望校をあきらめることにならないよう、苦手科目から逃げずに地道に取り組んでいく姿勢を身につけてほしい」と語る。
 徹底した初期指導の結果、ほとんどの生徒が課題考査の問題を解くことができるようになった。

「学ぶ意味」を考えさせ短期目標を示して意欲を喚起

 続いて取り組んだのが予習の徹底である。なぜ予習が必要なのかというところから説明を始め、毎時間、予習プリントを宿題に出し、授業では必ずそのプリントを使い、きちんと取り組めば定期考査でも点数が取れるというサイクルを回すことで、予習に取り組む意欲を高めるように工夫した。
 例年、実施している週末課題もテコ入れを図った。17期生では、課題を提出しなかった生徒を放課後に残し、英語担当がそばについて、その日のうちに終わらせるようにした。出さなければ部活動に遅れるとあって、生徒は部活動顧問や先輩からのプレッシャーもあり、きちんと取り組むようになった。
 居残り学習は面談としても機能している。部活動に入らず、英語へのモチベーションも低い生徒には、英語担当が居残りの時間を使って学習習慣の大切さを説き、学校生活や家庭のことを話し合うなど関係づくりに努めたという。「生徒とじっくり話をしていると、家庭の事情など学習以外の側面が見えてくることがあります。対話を通して信頼関係を築くことで、予習プリントの提出状況が良くなる場合も少なくありません」と北川先生は指摘する。教師との良好な関係が、教科への意欲を高めた一例といえよう。
 もう一つ徹底したのが、「なぜ課題をしなければいけないのか」という目的意識の浸透である。やみくもに長文や文法の課題を出すのではなく、「9月に検定試験があるので過去問をやりましょう」「12月のGTEC for STUDENTSに向けてライティングの課題をやりましょう」というように、時期に合った課題を課すことで取り組みへの意欲を喚起するのである。「2年後の大学入試ではなく短いスパンの目標を示すことで、生徒のモチベーションは格段に高まります」と北川先生。一連の取り組みが功を奏し、17期生の課題提出率は例年以上に高く、3年次から学年団に入った先生方も、口をそろえて課題提出率の良さに驚いたという。

ALTの活用により英語を使う必然性を高める

 ALTを積極的に活用するようになったのも17期生からである。17期生が入学するまで、ALTはコミュニケーション中心の「国際理解」等の一部の学校設定科目を担当することが多かった。そこで17期生からは、全員が受けるコミュニケーション英語Ⅰの授業にALTが週1回入って、活動のデモンストレーションを行ったり、ペアワークやグループワークのサポートをしたりして、積極的に授業にコミットできる環境を整えた。
 「授業で生徒とALTの関係性ができれば、休み時間や掃除、部活動など授業以外の時間でもALTとのコミュニケーションが生まれ、英語を使う機会も増えると期待しました」と北川先生はねらいを語る。実際、ALTが合唱コンクールの指導に入ったり、学年集会で学校生活の感想についてスピーチしたりと、授業以外で活躍する場面は大幅に増えている。
 また、ALTは各種テストにも積極的にかかわる。英語Ⅰの授業では年5回のスピーキングテストを実施し、ALTが全クラスの生徒と1人1分間、コミュニケーションを行う機会を作った。1人1分とはいえ、年5回行えば5分になる。すべての生徒がALTと5分間、差し向かいで対話を行う機会は簡単につくれるものではない。また、定期考査のライティング問題の採点も、すべてALTが行うようになった。
 テストの一部をALTに任せたのは「英語を使う必然性」が生徒の意欲を高めると考えたからだ。実際、定期考査のライティングについて「エミリー(ALTの名前)が読むよ」と一言生徒に伝えるだけで、その内容はALTを意識したものになるという。「単に教えられた文法を使って英文を書くだけではなく、『エミリーに読んでほしい』『エミリーに伝えたい』という気持ちが芽生えることで、生徒の文章は生き生きとしてきます。ALTとの関係性が英語を使ううえで大きな動機づけになっているのを感じます」(北川先生)。

英単語テストとコンテストを連動させモチベーションを向上

 2年次の課題はリスニング力の強化だった。GTEC for STUDENTSの1年次12月の結果から、17期生のリスニング力の弱さが浮き彫りになった。そこで2年次からリスニングの教材を、通常1冊のところ3冊導入して各学期1冊ずつ取り組ませ、定期考査でも20点をリスニング問題に配点して意欲の向上を図った。
 ただし、リスニングに関しては北川先生が期待したほどには伸びなかったという。「私自身の経験から、聞く量を増やしさえすれば耳が鍛えられると思いこんでいましたが、単に教材を増やすだけでは限界があったのだと思います。3年次以降はALTとのコミュニケーションの場面を増やすなど、活動内容を工夫してリスニング力の向上を図っていきたいと思っています」
 2年次ではコミュニケーション英語IIで毎時間、英単語テストを行った。ここでも先生方が意識したのは「短期目標を見据えた意欲の喚起」だった。英単語テストのモチベーションを高めるうえで効果を上げているのが、年3回のボキャブラリー・コンテストだ。同校では10年ほど前から、3学年全体で同一の単語帳を使って、毎年7・12・3月に全学年共通の問題による単語テストを実施している。全校で順位を出し、学年末に3回分のスコアを合計して優秀者を表彰する。
 学年を超えて競い合うことでモチベーションを高めるのがねらいだが、同時に17期生の2年次ではコミュニケーション英語IIの英単語テストを、同コンテストの範囲内からの出題とした。テストは毎授業の冒頭、その日の範囲の例文を全員で音読し、さらに1分間例文を見て頭に入れさせたうえで数問を出題する。日々の英単語テストの集大成としてコンテストを位置づけることで、テストへのモチベーションを高めつつ着実に基礎力を蓄えていくのである。

ライティング・テストは事前に問題を公表

 ライティング・テストは、定期考査に毎回10点分の問題を入れている。ユニークなのは、テスト当日に初めて問題を見せるのではなく、テストで何を問うか、あらかじめ生徒に伝える点だ。教科書の内容に沿ったテーマを設定し、考査1週間前にテストで使う文法や表現、ワード数などの条件を公表。合わせてALTが作成したExample Sentenceを模範解答として配付し、どのような文章を書けばよいのかというところまで伝えるのである。生徒はテスト本番までに自分で文章を考えておけば必ず高得点が取れるのだ。希望者は事前にALTのチェックを受けることもできるという。
 「何もヒントを与えなければ、『どうせ自分にはできない』といって放棄してしまう生徒が増えるでしょう。やるべきことが明確であれば、難しい問題であっても生徒はしっかり備えてきます」と北川先生は手ごたえを語る。事実、ほとんどの生徒が10点中7点以上の得点が取れるようになったという。
 一方、スピーキングテストはコミュニケーション中心の英語表現(2年生240人中201名が選択)の授業で行う。ALTとの1対1の対話テストが5回、プレゼンテーションやペアによるスキットなど多様な表現によるテストが5回、計10回のテストを実施した。1対1のテストは1人1分、プレゼンは2分程度(ペアなら4分)。プレゼンのテーマは、授業で扱った内容、あるいは自分の好きなことなどさまざまだが、いずれも授業で学んだ表現を使わせる点で共通している。
 原稿はあらかじめALTにチェックしてもらうことも可能で、授業内で練習の時間も設けられている。「英語に自信がない生徒も、あらかじめALTのチェックを受けていれば安心して発表に臨める」と北川先生。定期考査における配点は10点である。
 リーディングに特化した活動はないが、定期考査には必ず10点分の初見問題(応用問題)を出題し英問英答としている。内容は授業で扱ったテーマに関連する文章を選んで出題する。

2年次12月の特別授業が「3年次0学期」のスタート

 例年、同校では12月の定期考査の後は午前中だけ授業を行い、午後はセンター試験を受験する3年生の補習にあてていた。17期生の2年次からは、12月下旬まで6時間授業を継続することになり、そのうち3日・各2時間(計6時間)を特別授業の時間とした。国語、数学、英語のうち、各生徒が入試で弱点になりそうな科目、伸ばしたい科目など「今自分に一番必要と思われる科目」を選び、クラスを解体して科目別に再編し、1科目集中で3日間の授業を受けるのである。同学年では、初めて入試を意識して学習に取り組むこのタイミングを「3年次0学期」のスタートと位置付け、学年全体で切磋琢磨していく雰囲気づくりを進めた。
 「3年次0学期」のスタートを象徴するもう一つの取り組みが学年共通の単語帳だ。同校では例年、3年次4月から大学進学志望者に入試用の単語帳を持たせている。17期生からはそれを就職希望者を含めた生徒全員に、「0学期」である2年次12月に前倒しして持たせた。系列・進路を問わず「チーム17期」として、最後の1人の進路が決まるまで全体で頑張る意識を醸成するためである。
 「大学進学志望の生徒に対して集中的に指導するのは効率が良いように思えますが、それ以上に学年全体の雰囲気が大切です。推薦・AOで早く進路が決まった生徒がアルバイトの話をしたり、秋以降に遅刻者が増えたりするような雰囲気は、最後まで頑張ろうとしている生徒のやる気をそぐでしょう。頑張っている子がクラスにいるから、自分も進路は決まっていても卒業まで頑張ろう。そういう雰囲気を最後まで保つことが、この時期の進路指導でもっとも大切なことだと考えています」(北川先生)。

GTEC for STUDENTSの全員受験を3年次でも開始

 「チーム17期」として学年全体で頑張る意識は、GTEC for STUDENTSの活用にも現れている。同校では例年、GTEC for STUDENTSの受験は1・2年次が全員、3年次はセンター試験受験者や難関大志望者のみ(計20人程度)としてきたが、17期生は初めて3年次でも全員受験とした。進学でも就職でも高校生として身につけるべき英語力に変わりはない。進路を問わずすべての生徒が受験することで、全員一丸となって志望実現に向かう意識を醸成するのがねらいだった。
 英語に苦手意識をもつ生徒が多い同校だが、GTEC for STUDENTSには前向きに取り組むという。「検定試験の場合、受かるか落ちるかのどちらかですが、GTEC for STUDENTSはスコアや到達度が明確で、しかも技能別に得意不得意が分かります。また、採点を海外の英語話者が行う『本物感』にも心をくすぐられるようです」(北川先生)。
 GTEC for STUDENTSの上位者は表彰の対象にもなる。同校では学年を問わず、年次集会で生徒を表彰する機会を設けており、前述のボキャブラリー・コンテストや年3回の漢字コンテストの上位者とともに、GTEC for STUDENTSの成績優秀者も表彰している。ユニークなのはグレード4以上のスコア上位者だけでなく、伸び幅が大きい20人ほどの生徒も表彰の対象にしている点だ(資料1)。意外な生徒が入る場合も多いため、名前を読みあげる際は上位者の表彰より盛り上がるという。

【資料1】GTEC for STUDENTSの1年間のスコアの伸び
前回: 2013年度1年生12月回  今回:2014年度2年生12月回

文部科学省の指定を受けてCAN-DOリストを作成

 2015年、同校では初めて全学年でCAN-DOリストを作成し運用を開始した。きっかけは、文部科学省「外部専門機関と連携した英語指導力向上事業」の指定を受けたことによる。評価方法・基準の改善をはじめとする4つの目標の一つがCAN-DOリストの作成だった。
 4技能ごとに各学年の前後期の到達目標が具体的に記されており、GTEC for STUDENTSをはじめ、各学期で取得すべき検定のスコア・級も明記されている(資料2)。北川先生はCAN-DOリスト作成の意義を次のように述べる。
 「生徒にとっては、今授業で行っている活動がどのような力の育成につながるのかが明確になり、活動へのモチベーションを高めることができます。また、できなかったことができるようになったことが一目でわかり、自分の成長を実感できる点もメリット。教師にとっても、ある力を伸ばすために行った活動が適切であったかどうか検証しやすくなり、授業改善につながると期待しています。」
 また、目標を明確にすることで、学年やクラス全体で取り組む意欲を醸成する効果もあるという。CAN-DOリストの活用を通じて、「チーム17期」の結束はより固くなるのである。
 同校のCAN-DOリストはまだ試作の段階だが、実際に授業で運用しながら目標設定や学習タスクが適切であるかどうかを検証し、1年間かけてブラッシュアップしていくという。もっとも、ある段階で完成ということはなく、その年々の生徒の学力や気質に応じて各学年の到達目標を変えていく必要があると北川先生は指摘する。取り組みを形骸化させないためにも、生徒の状況に応じた不断の改善が求められるのである。

【資料2】兵庫県立香寺高等学校 CAN-DOリスト(27年度版)H27.6.5版(抜粋)

取り組みの成果と今後に向けて

 一連の取り組みの結果、1年次初期の徹底した補習により中学時代の基礎基本の定着が進んだこと、家庭学習の重要性が浸透し週末課題の提出率が向上したこと、ALTの活用による英語の活用機会の増加などの成果があがったことは、述べてきたとおりである。また、大学入試に対する早期の意識づけ、および「チーム17期」を合言葉とした集団意識の醸成により、進路実現に意欲的に取り組む生徒も増えつつある。例年は推薦・AO入試などで早めに進路を決めようとする生徒も多いが、2016年度入試では同校のターゲットである甲南大学を中心に一般入試受験者も増える見込みだ。GTEC for STUDENTSの成績も1年間で、下位層が減り、上位層が増えている(資料3)。
 例年、数名程度しかいなかった3年次の学校設定科目「国際理解」の履修者が、17期生では一気に50人以上に増えたのも、より高いレベルの英語力を身につけたいという生徒たちの意欲の表れといえる。コミュニケーション中心の科目であるため、一見入試と無関係に思われがちだが、実は入試学力の向上にもつながることを、ある生徒が証明したという。
 「以前、一般入試で甲南大学をめざす生徒が、この科目を履修しました。私が『英語のプレゼンなんかやっていて大丈夫?』と尋ねたところ、その生徒は『英語で調べたり発表したりすることで、ほかの英語の科目の得点も伸びるんです』と言ってくれました。4技能を総合的に活用することで、入試にも必要な英語力が高まるということに、私自身改めて気づかされました」(北川先生)。
 従来3年次では、入試を意識した文法指導などを中心に行ってきたが、17期生では3年次後期から、知識をインプットするだけでなく、学んだ文法を使って発信する機会も増やす予定だという。次年度以降は低学年から自分の夢を英語で語り合う、大学・職業調べの発表を英語で行うなど、キャリア教育との連携も模索していく考えだ。

【資料3】 GTEC for STUDENTSトータルスコア度数分布 過回比較

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